第10話 見張られてるけど、お弁当届けるよ!
美崎ちゃんが姿を眩ましてはや一週間。
世界一決める最終ゲーム。
政府は美崎ちゃんに負けて欲しいから、勝つと言っている美崎ちゃんを拘束しようとしたけど嫌がる美崎ちゃんは逃亡した。
最終ゲームが始まるまで隠れてるつもりみたい。
美崎ちゃんは一ヶ月逃げてれば、設計したオリジナル機の実物が異星人から届けられるため、それに乗れば警察はもう関係ないって言っていた。
機体貰ったら、すぐに世界一決定戦始まるしね。
郊外の一軒屋、自宅のリビングの窓から外を見ると電柱の影にスーツのおじさん。
「お母さんまた変なおじさんが張り込みしてるよー」
わたしは料理は得意だから台所で夕食を作るお手伝い。
野菜を炒めているお母さんが手を止め、わたしの見てる方向を見た。
「やぁねぇ。警察に連絡しようかしら」
「はは、駄目かも」
あの後、美崎ちゃんからスマホにメール。言われた通りに、だうんろーだ? って所で美崎ちゃんの上げたソフトを入れた。
音声認証してからの通話に、暗号化ってので、美崎ちゃんの位置情報や通話記録等、色々バレなくなるみたい。でも、美崎ちゃんからのメールは結構来てるよ、
でも何時もの半分も来ていないから、用心してるみたい。
夕食後、お父さんと弟、お母さん、家族四人でTVを見る。いつもの習慣。
ちなみに美崎ちゃんと白ネズミに銀眼鏡の話は家族にはお話済み。
みんな協力してくれるって。さすがはうちの家族だよ、話が分かるね。
「美崎ちゃん失踪のニュースが流れているわね。見つかったら警察に連絡をだって」
「美崎ちゃんは銀眼鏡は警察の上部組織って言ってたからね。連絡したら銀眼鏡に見つかっちゃうよ」
「警察が何もしてないお姉ちゃんの友達を捕まえようとしてるなんて変だね」
我が弟よ。その通りだ!
「勝たせない為に拘束かぁ、某国からの圧力かな、綾の言う通りなら勝ったら設計した機体が貰えるらしいし」
技術職のお父さんはうんうん頷きながら見ている。
「心配ねぇ」
とお母さん。
わたしも心配だよ。
連絡は毎日来るから、そこまで不安でも無いけどね。
と、スマホが鳴った。
「あ、美崎ちゃんからメールだ」
『緊急事態!!!』
え、何で?
わたしは急いでメールを開ける。
『綾の料理が食べたい! 禁断症状!』
嬉しいやら悲しいやら。
わたしは美崎ちゃんに渡すお弁当を何にするか考え始めた。ちょと楽しいよ、美崎ちゃん。
休日、ドライブへ行くことになった。カモフラージュだね。
協力してくれる家族に感謝だよ。
美崎ちゃん指示の元、美崎ちゃんのおじいちゃんのところへ行って改造した二百グラムの重さだけど、無茶パワーのあるドローンを持って出た。良くわかんないけど、弟と父が凄いと興奮してた。
この街は大きくないというか、近くに結構山がある。
お父さん運転の車で人家の無い場所まで行くと、そこにお弁当を吊るしたドローンを放した。自動で美崎ちゃんの所へ行くみたい。
スマホが鳴って、出ると美崎ちゃんの顔が。
後ろに吊られて血抜きされてる猪さんがいるけど見なかった事にするわたし。
「ん、今は近い所に居るから映像も行ける。お弁当ありがとう。そして久しぶり、綾」
「うん、久しぶり」
顔を見るのは十日ぶりだけど、もう懐かしい感じ。何時も一緒に居たからかな。
思わず涙ぐんじゃたよ。
「あ、この人がお友達? 日本一になった凄い人?」
弟が横から顔を出すと、スマホの向こうの美崎ちゃんの表情が能面になった。
「綾、その男誰?」
美崎ちゃんの目のハイライトが消えてる。
「何怖い顔してるの、弟の勇太だよ美崎ちゃん」
「勇太でーす」
美崎ちゃんは、ほっとした顔になると、挨拶をした。
両親とも挨拶。
「頑張ったね、美崎ちゃん」
「ん、挨拶くらいできる」
ちょとプンスカ顔だけど、美崎ちゃん挨拶苦手なのはわたしは知ってるからね。
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