第9話 美崎ちゃんは強いんだよ!

 わたしと美崎ちゃんは変態白ネズミさんを置いて校長室の外へ出た。


「待ちたまえ。君には言っておく事がある」


 銀眼鏡がわたし達を追うように出て来て凄んで来た。


 校長室の扉の前に居たのかボディガードが増えて三人。

 取り囲むように立った。


「君には一ヵ月後の世界各国の代表が競う大会で負けて貰う必要がある。勝者の機体は彼らから供与されるのだ。その意味は優秀な君なら分かるな」


 銀眼鏡が偉そうにのたまう。


 冷たい、わたし達を蟲のようにしか見てない目。超いやんだね。


 美崎ちゃんはクールな表情でそれを見返す。


「私は国家公安秩序局の局長だ!君なんかなんとでも出来る!」


 良い大人が、女子高生に恫喝して来た。


 見ると美崎ちゃんは一切動揺していない。格好良い!わたしなんか、大人の脅しに足震えてるよ。


「私は負けない。負けられない」


 美崎ちゃんはクールな声で返事をした。


「拘束しろぉ!」


 銀眼鏡はボディガードさんに指示を出した。


「駄目、危ない!」


 わたしは思わずボディガードさん達に大声。


 そんなわたしを尻目に、美崎ちゃんは風のように動く。


 弾けるゴムの如く放たれた掌底が、銀眼鏡の横に居たボディガードの顎を打ち抜く。仰向けに崩れ落ちるボディガードさん。


 頭打たないと良いけど。


 返す刀の裏拳で後ろの人の顎を打ち抜く。動揺した最後の一人を構える暇を与える間もなく下からガードを摺り抜けるように顎に掌底。


 古武術だから基本蹴りは使わない。


 道場で美崎ちゃんの練習終わるの待ってた時、ボディガードの人達より遥かに強そうな門下生の人が教えてくれた。


 道場主のとっても強いお爺ちゃんをボコボコにする美崎ちゃん。


 本気にさせるととっても怖いんだよ。


 美崎ちゃんの動きはわたしは見える。頭は悪いけど目は良いんだよ、視力三.〇だもん。


 門下生の人も凄いって目を丸くしてたし。


「ひ、ひぃぃぃぃ」


 あっという間にボディガード三人倒されて銀眼鏡は腰を抜かしてへたり込んでいる。


 暴力で言う事きかせようとしたのが悪いんだよ。わたし達何もしてないしね。


 美崎ちゃんはどうしても勝ちたいらしい。


 此処まで本気の美崎ちゃんは初めて見る。決意の目がクール格好良い!


「ん、綾、私は世界一を決める戦いまで、彼ら銀眼鏡から逃げる」


「で、でもどうするの、この人達、政府の人だよね、ちょとやばくない?」


「ん、勝てば官軍」


「そ、そうかー、勝てば官軍だね!」


 世界一になれば、問題ないってことかな。さすが美崎ちゃんだね。


「ん、綾、一ヶ月後迎えに行く、綾が居ないと勝てない」


「うん。わかった待ってるよ!」


 わたしは美崎ちゃんと約束した。ちゃんと近くで応援するよ!


 美崎ちゃんは笑顔になり、くるりと背を向けると歩き出した。

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