第6話 美崎ちゃんの機体は綺麗、当たり前か。

「大丈夫?綾、怪我は無い?」


「うん大丈夫。リアルだけどVRだからね」


 美崎ちゃんの何時もの落ち着いた声が通信で来た。

 

 声の方を見ると真っ黒な人型のロボット? が降りて来た。美崎ちゃんの機体かな。女性型でなんとなく美崎ちゃんに似てる。


 ボンキュッボンでありながら、すらりとした綺麗な美崎ちゃん体型!


 ……の大きな黒いマネキンって感じ。


 ちょっとエッチ。


 大きさはテンプレロボと同じくらい。十メートルくらいかな。


 作る時にあったテンプレにはこんなの無かった。


 廻りの人とは全く違う機体。


「美崎ちゃん作るの間に合ったんだね」


「ん。残り一秒だった」


「凄いね。ギリのギリまでやってたんだ」


 こういう課題めいたものは直ぐに済ませる美崎ちゃんだが今回は最後まで粘ったようだ。


「でもこれ何、美崎ちゃんに似てるけど」


「ん、機体形状は私の体型をコピーした。本当は綾の使いたかったけど、人に見せたくなかった」


「美崎ちゃんの体型も駄目でしょー!わたしや、みんなみたいにロボット型にすれば良かったのに」


「ん、駄目、それだと自分の体のように動かせない」


 美崎ちゃん体型の美少女型ロボは急上昇、蹴り、やパンチを打ったりしてまるで人間のようだ。


 と、空に白いネズミさん……異星人の姿が浮かび上がった。


「皆さーん、待ちに待った日本一を決めるVR対戦の日だよー。準備は出来たかなー!」


 オーと応じる歓声がちょと聞こえて来た。TV放送みたい。


「結構な数が始まる前から墜落したりして終わってますが……あーっと!凄いのが居ますねー。今回は期待出来ますよー。母星の皆さんも楽しんで下さいねー!」


「母星だって美崎ちゃん、凄いね、宇宙放送だよ!」


「うん。予想してた」


 そう言うと美崎ちゃんのロボは白いネズミの方を見ると機体の背中から太い針のような剣を取り出した。


「絶対に勝つ。勝たなくちゃ」


 いつになく真面目な美崎ちゃん。


「これ命掛けた戦いじゃないでしょ」


「どうかな、綾、あなたも協力して、貴方の力が必要」


「良くわかんないけど協力してって言われたら協力するよ。特技はドッチボールでの回避しか無いけどね」


「ん、ありがとう、綾。一緒に絶対勝ち残ろう!」


 戦うのは美崎ちゃんだけなのに、妙なことおっしゃる。


 美崎ちゃん、頭良すぎて何言ってるかわかんないのは良くあること。


「うん。一緒に勝ち残ろうね、美崎ちゃん!」


 応援の言葉に美崎ちゃんロボは気合入ったような動き。


 武士というか剣士のようにすらりと立つ。


 いやん。格好良い!


「では、始めーーーーーー」


 白ネズミの言葉に皆が一斉に動き始めた。

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