第5話 VR対戦の開始の前に……どっごーんだよ、どっごーん!

ゲームのような画面で妙な物をメイキングさせられて一週間が経った。


VR対戦とやらは学校でやるらしい。


何時もの時間割は中止。今日は緊急HRホームルームだ。


今回は前回と違い、何が起きるか皆知っている。VRでの対戦って奴だね。


「はーい、みんな危ないから座ってー、そろそろ指定された十時よ。」


先生豚魚雷も教卓に椅子を持って来て座った。


「先生ー何で危ないんですかー」


女子たちの質問に洋ゲー好きの男子が答える。


VR仮想現実だぜ、廻りも見えなくなると思うわ。ちゃんと座ってないと危ないに決まってるじゃん。」


「楽しみだなぁ、俺の作った機体で無双してやるぜ」


「面倒だから俺は速攻沈む予定」


男子は結構盛り上がってる。


女子はその、何だ。みんな早く終わらせる気満々だ。


「今日は日本全部でこの時間お休みだって」


「……ん」


横を見ると美崎ちゃんはまだ画面を多数開いたまま色々弄くっている。


「もう、早くしないと間に合わないよ」


チャイムが鳴った。妙な時間に鳴らすけど合図かな。



「あと一分後視覚と感覚がVRに変化するそうです。練習の通り机に突っ伏してねー」


先生豚魚雷がそう言うと、自分も教卓へ突っ伏した。


「VR対戦しようとか言ってたけどさ、どうするんだろ」


「さあなぁ、VRゴーグル配布も無いよな」


男子が話してるけど、わたしも不思議だ。どうするんだろ。


「美崎ちゃん、もう始まるよ」


「……ん」


美崎ちゃんはまだ画面を弄ってる。


と、いきなり視界が変化した。


「え、どうなってるの?」


わたしはコクピットの中らしきものに乗っている。

両手は操縦桿らしきものを握っている。


慌てて廻りを見ると球状全面スクリーンの中に操縦席があって其処に座ってる感じである。


見える映像から見るにわたしは、あの画面内で作ったぬいぐるみ型ロボの中に乗っている。


廻りにはゲームで乗るものを作れと言われた時にあったテンプレを組み合わせた感じの沢山の飛行機や漫画のようなロボットが、沢山空の上を飛んでいるのが映し出されている。


「わわわっ!」


わたしはパニック。


「ん、落ち着いて、綾ちゃん」


「そんなん無理ーーー」


操縦桿を押してしまったら大噴射、大回転。


「きゃーーーーーー」


ぐるぐるだよ! ぐるぐる!


「ん、操縦桿を引くの……多分それでいける」


美崎ちゃんの冷静な声でわたしは落ち着いたよ。


だがもう遅し、地面に墜落した。どっごーん!


どっごーんだよ! どっごーん!


そして警告音と赤いライトが点滅してコクピットを照らす。


『破壊判定。破壊判定。残念ながら貴方のゲームの参加は終了しました』


「えええええ! ゲーム始まる前に終了しちゃたよ!」


「ん、綾ちゃん。ガンバ。守りながら戦いたかったから少し残念」


「凄いねー美崎ちゃん。ちゃんと動かせるんだ」


「ん、設計画面からのリンク辿って操縦シミュ見つけてそれで訓練した」


「え、そんな入ってたの!」


「ん、色々入ってた。面白かったよ。おそらくはコレも異星人の狙いだと思う」


「ふーん、そうなんだ」


わたしは適当に相槌を打つ。


『ゲームの継続視聴は可能です、視聴しますか』


というアイコンが出て来たので即タッチ、継続視聴を選ぶ。


美崎ちゃんの勇姿見たいもんね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る