一章/称号とユニークモンスター
第7話 テイマー流・お使いクエスト攻略法
「こんにちは、リスナーの皆さん。極楽への道に咲く
・ちわー
・本日2回目の愛華ちゃん
・新鮮な冒証だー!
十五時ちょうど。お昼ご飯と身の回りのあれこれを終わらせて、再びゲーム開始。
同時に、配信もオンにする。お決まりの文句を言うと、待機してくれていた数人が、ぽつぽつとコメントしてくれた。
「私は今、キャラメイクとチュートリアルを終えて、なんか簡単そうなクエストを五個くらい受けてます。具体的にはこちら」
【地図作成・セキナンの町】
期限:なし 報酬:300G
セキナンの町を実際に歩き、地図を作ってください。
(現在の達成率:0%)
【荷運び・冒険者ギルド→薬屋】
期限:1日 報酬:500G、薬草×3
冒険者ギルドから薬屋へと依頼している商品の材料を、目的地まで運んでください。
荷物はストレージに入れられないので、落とさないようにご注意を。
(期限までの残り時間:あと1日)
【荷運び・薬屋→冒険者ギルド】
期限:1日 報酬:500G、魔力草×3
薬屋が冒険者ギルドへと卸している商品を、目的地まで運んでください。
荷物はストレージに入れられないので、落とさないようにご注意を。
(期限までの残り時間:あと1日)
【見習い仕立屋のファッションモデル】
期限:なし 報酬:800G
仕立屋で働く見習いが作った、新しい服のモデルになってください。
アドバイスをしてあげると、見習いの勉強になるかも?
【町長への挨拶・セキナンの町】
期限:なし 報酬:初級HPポーション、初級MPポーション
セキナンの町の町長、サウスへ新規の冒険者となることを、報告しに行ってください。
拠点となる町の長です。礼儀は忘れないように。
・全部おつかいじゃないか!
・ほんとにmmoのラインナップ?
「いいじゃないですか! だって外のマップは今、スタートダッシュ勢の人たちで文字通り戦場なんですよ? それに、私はまず町をじっくり見て、準備を整えてから挑戦するタイプですし!」
あまりにも地味すぎるクエストの数々に、コメントでは困惑と不満の声が上がる。でも変えないよ。
確かに視聴者を盛り上げることも大事だけど、私は私のやりたいようにゲームを進める。その先で得られた結果や取れ高を、ファンと共有するのが、極楽鳥花愛華のスタイルだからね。
「それに、私には従魔の黒檀丸がいるので、ちょっと試したいことがあるんですよね」
疑問符を浮かべる視聴者を横目に、クエスト用の『!』アイコンが出ている、受付の
「これが荷物……よしっひも付き木箱ならOK!」
・愛華ちゃんなにするの?
・あっ馬か!
・けっこうでかいな、インベに入らないのだるそう
「ふふふ。察しのいい人がいますね。そう、私一人なら、きつくて割に合わないクエストですけど、今の私はテイマー。使い魔の力があれば、簡単にできるんですよ!」
胸を張って宣言した私は、クエスト用に受け取った荷物――固定と運搬用にひもが巻かれた、直径五十cmほどの正方形の木箱。持った感じ、十kg以上はありそう――を抱えて、冒険者ギルドの外に出る。
そしてその瞬間に、私を出迎えるようにして、黒檀丸が現れた。
「さあ黒檀丸。あなたの運搬スキルの出番だよ!」
・そんなスキルあったな
・なるほど!頭いい!
・そっか、ストレージに入れずに運べって言われただけで、自力で持って運べとは言われてないから
「そういうことです!」
感心してくれたリスナーのコメントに答えつつ、馬の広い背中に荷物をくくり付けた。ちょっと手間取ったけど、黒檀丸は大人しくじっとしててくれたから、しっかり固定できたよ。
「さてと、準備完了です。地図作成クエストもやりつつ、薬屋へ行きましょう!」
・テイマーならではの解決法だ
・いってら
・ただのお使いなのにUMAの存在&面白攻略法で引き込まれる。これぞ愛華ちゃんクオリティー
・馬ゲットしたのに、自分で乗らずに荷物運びに活用するの草
「こ、黒檀丸に乗るのはまた今度です! 鞍もないのに乗れませんから!」
あっ、そういえば騎乗スキルを取るの忘れてた。薬屋とギルドの往復が終わったら、鞍を買うついでに取得しとかないと。
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