第14話 乱入者
「神子達は後ろでいい?」
「うん。僕と一緒に後ろで警戒をしてもらおうかな。神子さんは僕の後ろに。真子さんは索敵をお願いしたいので、僕の前に居てくれますか?」
「オッケー」
そうすると、前後をギャルに挟まれた。
前にいる真子さんを意識しないように前方に集中する。
視界に露出された肌が目に入り、少し困惑しながら進む。
僕達の前には猛と賢人、そして奈々がいる。
守ってもらって申し訳ない気がするけど、適材適所と思って自分を慰める。
猛のBOTと神子さんのBOTを起動させる。
二組で配信だ。
「双子座姉妹でーす! 今日は、先日驚異的にバズった配信をしていた明鏡止水さんとコラボしまーす!」
神子さんがBOTに向かって挨拶をしている。
僕達はそういう感じじゃないんだよね。
「よしっ! 行こう!」
「「「了解!」」」
奥に進む。
ここからはダンジョンだ。
オークが出てくるらしい。
「このさきに一体来るよー」
「みんな! 警戒!」
「「「了解!」」」
真子さんからの索敵の情報を共有して警戒する。
曲がり角から現れたのはオークだった。
「自分が行くっす! 【不動明王】」
「ブオォォォォ!」
メイスを持っていたオーク。
それを振り回して叩きつけてくる。
ビクともしない猛。
「
首狩りの一撃が放たれる。
綺麗な青い一筋の光がオークの首を走る。
ゴトッと頭が落ちると倒れた。
「おぉー。流石は賢人」
僕が賢人を褒めていると。
「すごーい! 配信されてた通り剣の達人なんだね!」
「見てた通りー」
たしかに昨日の配信では剣の達人のように見えたかもしれない。
でも、それでいいのかもしれない。
仁さんの目的はこういう事だったのかもしれない。
賢人の剣の腕前はボンクラなんかではない。強いんだぞって言うのを伝えたかったのかもしれない。
「さぁ。気を引き締めて行こう!」
「「「了解!」」」
また進む。
下へ下へ。
群れでオークが出てくることはなく。
一体一体出てきたオークを処理する感じで進んで行ったのだった。
しかも、真子さんの索敵があった為に不意打ちにもならなかった。
凄く快適にダンジョン攻略が出来ていた。
「なんだか、順調すぎるね?」
「だねー。これバズるかな?」
「んー。ちょっと無理かもねぇ」
緊張感のないそんな会話を双子座の2人がしていた時だった。
黒い影が横切った気がした。
ん?
今なにか……
「「「ブオオォォォオオ」」」
「何かいっぱい来るよー」
「猛! 前で受け止めて!」
「任せろ! 【不動明王】!」
前で構えると遠吠えのような声が近づいてくる。
ドドドドッと重量感のある何かが近づいてくる。
その音が響き渡っていた。
角から曲がって来たのは。
大量のオーク。
これはヤバい。
「【整頓】」
まずオークを一列に並べる。
そして、猛が怒涛のオーク達を受け止める。
しかし、ここで問題が起きた。
スキル発動時に効果範囲にいなかったオークが横から押しかけてきたのだ。
僕のスキルは一度発動すると多重では発動することが出来ないんだ。
一度解除してしまったら猛が飲み込まれてしまう。裏を取られたら猛はやられる。
盾を出してるからいつも無傷だが、生身の部分が別に固くなるわけではないからだ。
「俺が処理する!」
賢人が横から来たオークを処理し出す。
僕が整理を使うタイミングを間違えないようにしないと、全滅しかねない。
「奈々!」
「うん! 言っくよー! ウインドカッター!」
多数の風の刃がオークに襲いかかる。
少しは勢いを削ぐことが出来たみたいだ。
オークの数は増える一方で。
一体こんなに沢山のオークはどこから出てきたのか。
有り得ない数出てきている。
何とか賢人が処理出来ているみたい。
でも、このままじゃジリ貧だ。
「ウインドカッター!」
奈々ができる限り初級魔法で援護する。
時間系の魔法は魔力を多く消費する。
今は消耗は避けたい。
「これってもしかしてやばめ?」
「かもねー。コラボしたの間違いだったかなぁー」
またしてもギャル二人は呑気なことを言っている。
今はそんな事を言っている場合じゃない。
ここからどうやって逃げるかということが大事なんだ。
賢人もずっとフルパワーでは戦っていられないだろうし。
奈々もそのうち魔力が尽きてしまうだろう。
その前に何とか退路を確保しないと。
そうか!
一回オークを回収しよう!
「【整理】!」
猛の前にいたオーク達を次々と飲み込んでいく。三十秒の時間制限が来るまで入れ続けた。
整理のウインドウが表示される。
表示されたオークをひたすら「しまう」を選択する。
「オークは皆出てきて!」
すると、穴からポンポン出てくる。
よく見ると青く光っている。
以前にゴブリンを出した時は気が動転していて気が付かなかったんだろう。
「あのオーク達を止めて!」
出したオーク達は歩いていき、迫ってきているオークをせき止め始めた。
戦況は良くなった。
ようにみえた。
「収斗!」
賢人の方を見ると一体のオークが包囲網を抜けてきてしまったのだった。
「奈々! 真子さん、下がって!」
前に庇うように陣取る。
僕が守らなきゃ。
さっき使った整理スキルはまだ再使用ができない。
どうする。
手を広げて受け止める体制で構える。
迫るオークに半ば諦めた気持ちで、目をギュッと瞑る。
「ブオォッ…………ォォ」
倒れる音が聞こえる。
片目を開いて様子を伺うと、オークが胸に穴を空けて倒れていた。
「やっぱり俺っちがいないとバランスが良くないんだねぇ? 思った通りだ。俺っちがたまたま見かけて良かったね?」
誰だろう?
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