第13話 ギャル襲来
次の日、忘れていたゴブリンキングの素材を換金しに、ギルドに来たんだ。そしたら、薫ちゃんに驚かれた。
「収斗ちゃん、覚醒したスキルかなり使えそうねん? 配信で見たわよん?」
「はい。制限はある感じなんですけど、かなり便利な能力かなと思ってます!」
「そうよねぇん。ただ、あまりに有用だから妬んだり嫌がらせしてくる連中もいるわん。気をつけるのよん?」
「はい! そういうのは慣れたもんですけどね」
僕はなんの気無しに言ったつもりだったが、薫ちゃんは悲しそうな顔になってしまった。
「あっ、ごめんなさい。余計なこと言っちゃいました」
「ううん。いいのよーん。収斗ちゃんが苦労してきたのは知ってるもの。だからこそ。祝福もしたいし、これ以上嫌な思いして欲しくないのよん?」
「有難う御座います! 今は仲間が居るから」
「たしかにそうねん。あの子達もそれぞれ苦労しているわん。支え合って行くのよん?」
「はい!」
ホールに賢人達もやって来たみたいだ。
集まっているところに行くと、めぼしいダンジョンの情報を見ていた。
「おはよ。どう? なんか良さそうなダンジョンあった?」
「おぉ。はよー。そうだな。Dランクダンジョンだとオークが出るとこが多いみたいだな! ゴブリンよりはデカイぞ!」
「自分の出番が多そうっすね!」
「そうだね。盾士の猛には、頑張ってもらうことが多いかもね。近い所に行ってみようか!」
猛は気合が入っていた。
昨日の剣神と賢人の戦いに興奮してなんだかやる気に満ち溢れていたのだ。
賢人も自分の剣が少し成長したことを実感したのか。こころなしかテンションが高い気がする。
奈々は元気がない気がするけど……。
「「あーいたー!」」
金髪のショートヘアとロングヘアのちょっと露出の多いギャル二人が近づいてくる。
思わず後退りしてしまったのは、陰キャの宿命だろう。
「配信見たんだけどさぁ、コラボしたくて来ちゃった!」
いきなりショートの子にそう言われ、困惑してしまう。
コラボ?
何でコラボ?
「どういうコラボ……ですか?」
「んー? 一緒にダンジョン攻略かなぁ! 神子は、スキルが回復魔法なんだ! 回復は任せて!」
「真子はー、スキルが気配察知なんだよねぇ。索敵がとくいー」
ショートヘアが神子でロングヘアが真子ね。
分かりやすくてよかった。
同じ髪型だったら絶対わからないもんね。
今のスキルの感じだとパーティーとして考えてもなんら問題はなさそうだね。
後は、どれくらい僕が把握できるかってことだね。
「うん。わかりました。じゃあ、やってみましょう?
「神子はDランク!」
「真子もDランクー」
驚いた。
二人ともDランクなんて。
それだけ経験があるってことだよね。
「神子達はいつもコラボ出来そうな人を探してコラボしながら一緒にダンジョンの攻略をするの! それでしかランク上げれないからね!」
たしかに、回復魔法と気配察知はどっちもサポート系だもんな。
アタッカーが居ないとどうにもならないだろう。
「なんだか、あなた達は安定しているように見えたから、安心かなぁと思ったの!」
「そうなんですね。僕達はあの配信のダンジョンをクリアしてEランクに上がったので、今回挑戦するダンジョンはDランクなんですけど、それでも良いですか? Dランクダンジョンは初めてなんですけど」
僕は念の為、今回がDランクダンジョンは初の挑戦だということを伝える。
「神子は、問題ないと思うわ! むしろ、あなた達なら余裕よ!」
「真子も問題ないと思うー。Dランクダンジョン、そこまで難しくないのー。ちょっと敵が強くなっただけー。だから、Eランクダンジョンでボスまで無傷で倒したあなた達なら問題ないよー」
なるほど、ちゃんと僕たちの戦力を把握してダンジョンの難易度も分かった上で僕達にコラボを提案してきたんだね。
それなら受けてもいいかもね。
チラッと皆に目配せをする。
皆頷いてくれた。
「わかりました。じゃあ、さっそく臨時パーティーとしてダンジョンに挑む申請をしましょう!」
「「はーい」」
パタパタと後をおってくる。
僕としてはもう少し露出が少ない服にして欲しいものだけどね。
目のやり場に困るんだよね。
手続きに向かっていると後ろで奈々がブツブツ言っている。
「収斗がギャルを見てモジモジしてる…………あっ、ヤバい。鼻血が……」
なんか言ってるけど、奈々はたまに変になることがあるからね。
心配したけど大丈夫そうだね。
放っておこう。
「真理さん、ダンジョンアタックの手続きをお願いします。今回はDランクダンジョンに行くんですが、この神子さんと真子さんが一緒に行く事になりました」
「あらぁ? 珍しいわね。いつもはもう少し上のランクの人について行くのに、どうしたの? 双子座のお二人さん?」
なんか真理さんがちょっと怪訝な顔をしてる。
何か問題でもあるんだろうか?
この時、真理は薫の言っていた、収斗達に降りかかる火の粉がこの子達も含まれたとしたら。許可を出した私も薫ちゃんに何か言われるんじゃないかと慎重に見極めていたのだ。
「ただ面白そうだったからコラボしたかっただけですよ!」
「そーそー。コラボしたいだけー」
「んーーー。わかりました。許可しましょう。手続きはしておきます。収斗くん、くれぐれも無理はしないのよ?」
「はい!」
こうしてギャル二人とダンジョン攻略をする事になったのであった。
後から真理が薫にドヤされたのは収斗達には知る由もない。
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