第12話 賢人 VS 剣神
賢人と仁さんの決闘は別の場所で行われる事になり。
ギルドの地下にある訓練場で行われることになった。
BOTはウチで買ったものを使い、猛のアカウントから配信している。
「俺は真剣でいい!」
賢人は怒りながらそう言い放った。
なんでも、仁さんに刃引きした剣を使うかを聞かれたみたい。
それにも怒ってどうにも止まれなくなった。
負の連鎖が続いている。
「なんか、単に心配してるようにも見えるんだけどなぁ」
「んー。でも、私はあの親に対する態度はなんか分かるなぁ」
「自分は全然分からないっすね。親とは結構近い感じなんっすよねぇ」
賢人の態度に奈々は賛同している。
だが、猛はあまりよく分からないみたいだ。
僕はそもそも親というものを知らないから。
「じゃあ、ボンクラ息子の剣を見てやるかぁ」
「後悔させてやる!」
賢人と仁さんの決闘が始まった。
最初は剣同士が鍔迫り合いを繰り広げる。
賢人が少し離れると肩口に剣を構えた。
あれをやるんだね。
「オラァ!」
青い
しかし、同じように仁さんの
衝撃に空気がビリビリと振動している。
仁さんが下段に構えて剣から青色の光を放ちながら駆ける。
賢人は剣を弾かれたままの体制だ。
殺られる。
そう思いながらも、何処か冷静な部分では落ち着いていた。
「
「ぐっ!」
賢人が身体をそらした。
ギリギリの所を払い上げの剣閃が通る。
「くそっ! ホントに殺す気か!?」
「手加減して何になるんだ? ボンクラ息子?」
さっきのは避けなくてもギリギリ当たらなかったと思うんだよね。
やっぱり仁さんは……
「おら! 行くぞ!」
今度は横に構え、青光を放つ。
「
やや上に放たれたそのスキル技は、賢人がしゃがんだ事で空を切った。
後ろに転がりながら間合いをとっている。
次々と技を放っていく仁さん。
「
引き絞った剣から素早い突きが放たれた。
八つの青い突きの光が迫ってくる。
横に転がって避けた。
「
頭の上の最上段から見えないほどの速度で打ち下ろしが放たれる。
それは賢人の足元の床を斬り裂いた。
「
足に力を溜めた仁さん。
足元から青光を放ち仁さんが
賢人の後ろの仁さんが突きを放つ。
「終わりだ」
「クッソッ!」
また横に転がりながら避ける賢人。
「どうした? 逃げるだけか?」
「俺は……強い!」
立ち上がって仁さんに肉薄した。
そして、下段に構えた。
剣が青い光を放つ。
「
払い上げが放たれるが。
同じ技で相殺される。
青い光が錯綜する。
今度は同時に横に剣を構える。
二人の剣が光り輝いている。
「
賢人は首切りの一閃を放つが。
また同時に剣がぶつかり合い。
お互いが弾かれる。
だが、どちらも踏みとどまり、技を放っていく。
「
次は八つの突き。
お互いの突きがぶつかり合い。
鈍い剣先のぶつかる音が響き渡る。
技と技がシンクロする。
「
最上段からの打ち下ろし。
「
二人が同時に残像を作り出し。
残像に向かって剣を振るう。
一旦距離をとった。
「ほほぉ。中々やるな? けど、まだ俺の足元にもおよばねぇ」
なんだか仁さんが無理に挑発しているみたいに見える。
顔もにこやかな優しい顔。
「うるせぇ! 俺はあんたより強くなる!」
そう言い放つと仁さんに肉薄した。
そして、剣を弓のように引き絞り。
身体を反らす。
見たことも無い予備動作だが、世界がスキル技と認識したようだ。
剣が青い光を放っている。
「うおぉぉぉぉ!
捻りを加えた突きが今放たれた。
自力で出したスキル技は初めてじゃないだろうか。
「俺の奥義を見ろ」
仁さんの身体自体が青く発光した。
僕は
「
バッと光を放ったかと思ったら一瞬で賢人の後ろにいた。
バタリと賢人が倒れる。
足を少し切られたようだ。
力を出し切ったのだろう。
賢人は気絶していた。
僕の元に歩み寄ってくる仁さん。
決闘は終わった。
配信は切っておく。
「息子が世話になってるね。君の名前は?」
「僕ですか? 収斗です」
「収斗くんか。賢人の足を少し斬りつけた。気を失っているようだが、命に別状は無いはずだ。息子をよろしく頼む」
「はい。お父さんはどうするんです?」
「賢人は俺の事を恨んでいるだろうが、別にどうもしないさ。ただ、トップランカーになったからには維持しようと思っている。その方が後にいい方向に行く気がするからね」
やっぱり賢人の事を考えてそうしているんじゃないかな?
今回のことだって、技を教えているようにも見えた。
主要な技は習得したんではないだろうか。
後は応用的な感じかもしれない。
その証拠に、最後は自分でスキル技を使っていたようだし。
「そうですか。賢人に何か伝えておきますか?」
「ん? そうだな…………俺を超えて見せろ……とでも伝えておいてくれ」
「わかりました」
「なんだかすまんな。じゃあ、またな」
手を振るとさっていった。
奈々に頼んで賢人を回復させる。
少しして目を覚ました賢人は悔しそうだった。
けど、無駄じゃなかったと思っているみたい。
自分技を出す手応えみたいなものを掴んだって言ってたから。
この配信もかなりバズっていたのは、後から知った。
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