第6話 また新規加入?
その日はE級ダンジョンの最奥の五層まで順当に進み、クリア出来たのであった。
「やりましたね! 私、初めてダンジョンクリアしましたよ!」
「ねぇ、なんでFランクダンジョンにしなかったの?」
「……」
僕の問いに何故か目を流す奈々。
ん?
どうしたんだろう?
「奈々、もしかして間違え────」
「わぁぁぁぁ! 言わないでください! 恥ずかしいですぅ! やだぁ!」
「間違えて入ったんだな?」
えぇ?
ダンジョン間違えちゃったの?
「そうなの?」
「そうです。ここがFランクだと思ってました!」
「「あははは!」」
僕と賢人が笑うと、奈々が賢人を睨んだ。
「止めたのに! なんで喋ったんですか!?」
「いいだろ? どうせわかることだぞ?」
「嫌だって言ったのに!「いてっ!」 恥ずかしいって言ったのに!「いてぇって!」」
賢人の腕に拳を叩き込んでいる。
よっぽど恥ずかしかったんだろうな。
奈々、意外と人殴ったりするんだね。
「なぁ、そういえば収斗のスキルに入ったウルフって素材出せるか? 納品すれば収入になるぞ?」
「あーそうだよねぇ」
スキルウインドウを出して弄る。
ウルフを選択して分けるをタップ。
なんか、細かく別れた。
牙、頭、毛皮、肉、内臓。
なんかこの機能凄くない?
「なんか、素材毎に別れたみたい」
「マジでか!? 流石、Sランクスキル! 解体の手間が省けたぁ! 助かるぅ!」
そんなに解体が嫌だったんだ。
人には好き嫌いはあるよね。
「えっ? 収斗さんもSランクなんですか!?」
「うん。も、ってことは奈々も?」
「はい!」
凄くいい笑顔で可愛いらしさが爆発してるね。
眩しいなぁ。
「じゃあ、みんなお揃いだね!」
「えっ?」
奈々は目を見開いて賢人を見る。
その顔は絶望した顔だった。
「俺もSランクだぜ!?」
賢人がニカッと笑うと奈々の目が鋭くなった。
「せっかく「いてっ!」お揃いだと思ったのに!「だからいてぇって!」」
奈々、暴力は良くないよ?
「奈々、あんまり賢人を虐めないであげて?」
「め、滅相もない! これはスキンシップです!」
なんだか苦しい言い訳だね。
でも、仲がいいみたいで何より。
そんな話をしていたら役所に着いた。
ギルド窓口に行こうとすると、なにやら揉めている。
「おめぇは動いてねぇんだから報酬はねぇよ!」
「なんでっすか? 盾として機能してたじゃないっすか!?」
「だから、前に出て動いてないだけだろ!? そんな奴に報酬なんて払えねぇって言ってんだよ!」
なるほど。
なんとなく揉めてる内容は分かった。
でも、それはあんまりだね。
盾職を理解してない。
必要性も分かってないみたい。
こういう人は何を言ってもわからないよ。
「自分、それは納得できないっす!」
「力ずくで分からせてやろうかぁ?」
一触即発の雰囲気になっている。
そこに飛び込む。
「ちょっと待って。落ち着いて。ここはギルドの前だよ? ねっ?」
「ちっ! コイツが引き下がらねぇからいけねぇんだ!」
間に入って話し合いをしようとすると、盾のやつが悪いという。
盾の人もヒートアップしてて、地団駄を踏みながら怒ってる。
「盾の人の報酬僕が払うよ」
「ホントっすか!?」
「その代わり、僕達のパーティーに入ってくれない?」
「入れてくれるんっすか?」
「うん。是非入って欲しいんだ」
「入るっす!」
盾の人はそういうと落ち着いた様だ。
相手の人も落ち着いたみたいだけど、なんだか気に入らなかったみたい。
「おい、あんた!」
「僕ですか?」
「そうだ。俺の仲間引き抜くなんていい度胸だな?」
「報酬支払わないのは仲間っていうんですか? 対等じゃないですよね?」
「ぐっ! 仲間は仲間だ! それを引き抜くってんだ。俺達に金を払うんだな」
「うーん。そうですか」
これはまた厄介な人だね。
でも、僕も前回で学んだんだ。
こういう人は叩かれるのに弱い。
顔を近づけて耳元で囁く。
「さっきのやり取りの映像隠し撮りしてたんですよ。拡散しましょうか? この前のどこだかの、人をモンスターの中に追放した人、炎上して探索者できなくなったみたいですよ? 同じ轍を踏むんですか?」
「なっ! なんだぁ! それならそうと言ってくださいよやだなぁー。お前ら行くぞ!」
迷惑な軍団は役所の外へ逃げていった。
はぁぁ。
何とかなったね。
今度こういう事があった時のためにって考えてたことが効果があってよかった。
「ありがとございまっす! あの、報酬の件っすけど……」
「あっ! 待ってて! 今換金してくる!」
素材受けとりカウンターに向かう。
屈強な肉体のスキンヘッドの男の娘。
薫ちゃんである。
「薫ちゃん! 換金お願いします!」
「あんらぁ! 収斗ちゃんじゃなぁい! どうしたの? そういえば、
「はい。それで、素材持ってきたんですけど……いいですか?」
「勿論よぉ! でも、無理しちゃダメよ? 収斗ちゃんの細くて可愛い身体が傷ついちゃうから!」
「大丈夫です! 仲間が出来たから!」
「あんらぁ。よかったわねぇ」
スキルの空間からウルフの牙や爪、毛皮、内臓から肉までを一通りカウンターに出した。
「あらぁ? 何この完璧な分別? こんな綺麗なの見たことないわよ?」
「そうですか。スキルでやったんですけどね」
「ちょっとぉー! 収斗ちゃん、ホントに使えるスキルだったのね。良かったわぁ」
薫ちゃんはにこやかにいった。
が、その後の発言で場は凍りつく。
「おい! 収斗ちゃんのパーティーのやつら。収斗ちゃんに怪我負わしたらただじゃおかねぇからな? 小娘もだぞ? 分かったか?」
なんか、薫ちゃんに僕すごい好かれてるんだよね。
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