第2話 所詮当て馬に過ぎない

 当時、私が少し親しくさせていただいていたユーザーさんがいました。

 Twitterで多少やり取りするぐらいですので、友人ではありませんが、フォロワーさんではあります。

 読む系企画か何か、きっかけは覚えていませんが、彼は私の作品を読んでくれていたようです。

 そして、そんな彼も一次を通過。

 その時彼は、私にこう言いました。


「さすがです! すぐ載ってましたね!」


 実際上の方にたまたま掲載されていたので、確かにすぐ目にします。横文字で分かりやすいし(笑)

 ちなみに今回も、先に記した私がネタレビュー書いたユーザーさんに同じこと言われました。


「さすがですね!」


 と。ありがとうございます。私より長編部門通過したあなたの方がさすがです! 


 それはともかく、旧なろうコンを互いに一次通過。

 めでたい話に見えますが、私はそれどころではありません。

 まだまだひよっこだった私は、どうすべきか悩みに悩み、


「下駄を預けるしかない」


 と判断しました。

 つまり、続きを書けなかった。

 話が壮大で、しかも体力も筆力も足りない。

 無理だ……もし二次選考通過したら、その時は書きます。

 と、コンテストを投げました。

 事実上の投了です。


 さて、そんな最中彼は二次を通過。

 更に通過した記憶がありますが、正直覚えていません。

 私は書けない自分に嫌気が差し、すっかり創作意欲を失くし、創作界隈と距離を置いていました。

 ただ二次選考の結果だけ確認し、なろうの活動報告に近況だけを記してはいます。

 下駄を預け、落ちた。

 今でも読めます。残してあるので。


 私はこうして消え去り、またふっと戻ってきました。

 たぶん一年ぐらいかなあ。いやもっとか。2014か、あるいは2015。かなりうろ覚えですが、とにかく時間は経っていました。

 その間、たまに繋がりのあるユーザーさんの活動を見ていました。

 件の彼はいくつかのコンテストに参加し、そして選考を通過していた。


 つまり彼は「書ける、腕のある書き手だった」

 お互いサイトでは人気がなくとも、ポイントがなくとも「まあまあ書ける方」

 つまり、書ける不人気ライトユーザーという共通点があります。この書けるは、腕があるという意味です。

 私は「トカレストストーリー」という作品がちょっとだけ評価されていて、それでも1000ポイントには届かない。

 彼も似たような状態でした。


□「所詮当て馬に過ぎない」と彼は言った

 時間は更に過ぎ、私はまた創作界隈に戻ります。

 お知り合いの多くとは疎遠になり、連絡は取れたり取れなかったり。

 活動を続けている人もいれば、筆を置いた人もいます。

 新しい人生を、力強く華々しく進んでいる様子を載せていたユーザーさんもいました。

 少し寂しいですが、それでも元気なことは嬉しい。

 随分離れていたので声もかけ辛く、正直当時から付き合いが続く人は皆無です(笑)


 そりゃ十年一昔。付き合いの悪い奴ですからそりゃそうなる。少し話した方はいますが、今は新しい方ばかり。時代も変わり、令和の今小説投稿サイトは多い。流行りも変わった。なんて言いたくもなります(笑)


 話を戻しましょう。

 件の彼はどうしているかと、私は気になり様子を確かめにいきました。

 そして目にしたのが、この言葉です。


「いくら頑張っても、どうせ当て馬に過ぎない」


 コンテストに参加し、いつもいいとこまではいくけれど、入賞出来ない。

 彼はその状態を「当て馬」と表現していました。

 強い衝撃を受けたことを今でも覚えています。

 そして、


「いや違う! 君は少なくとも書けるじゃないか! 当て馬なんて自己卑下するなよ! 大体の書き手は、そもそも選考すら簡単には通らない!」


 と、創作界隈から散々離れ、一次通過を放り投げた私には言えません。

 思っても、言えない。

 書けない私は「当て馬」にすらなれない。

 重く圧しかかる言葉に愕然としながら、私はただただ無力な「書けない書き手」でした。


 それからしばらく、驚くことに彼は全く別の道を選んでいました。

 人によってはなるほどと納得するでしょうが、いわゆる「二次創作系の書き手」になっていたのです。

 そして、そこで彼は大人気。

 水を得た魚のよう、生き生きと活動していました。


 私はこれ以降の彼を知らない。

 なぜなら、また創作界隈から離れたから(笑)


 そりゃ十年一昔。天丼にお付き合いいただきありがとうございます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る