十九話 夢の自給自足のサバイバル生活!

 レインボースケイルと戦ってから4日が経過した。


 崩落させた洞窟から北東に10キロほど進んだ場所で洞窟を発見した。


 入ってみると、洞窟とは言い難い。

 高さ2.5メートルの入口に、奥行き7メートルくらいのツボのような形をした洞穴ほらあなだ、しかし鑑定様によると洞窟と出てるから洞窟なのだろが、これからは洞穴と言う。

 

 しかしこちらの方が都合が良かったかもしれない。


 最低限の雨風は遮れるし、実は奥に強い魔物が潜んでいたということがない。


 あの洞窟のように水はないが、1人だから雨水だけで生活できる。

 

 なかなか他に見ない好物件だが、これも【運命ノ微睡ミ】の効果なのだろうか。

 たとえこのスキルが作用していてもそれを知るすべは無いのだから気にしてもむだか。


 そんなことを思いながらバエルは一心に石と石を打ちつける。


 なぜこのような奇行をしているのかというと、この世界の全てが頑丈だからだ。

 わかりやすく言うとレベルが少ないと破壊する大丈夫のモノに与えるダメージが大幅に減少する。

 

 あのボスジャイアントフロッグに《地獄の火渦ヘルファイヤストーム》を打った時に周りの草木も効果範囲に含まれていたのに少し焦げさせる程度しかダメージを与えられなかったからだ。


 バエルは自慢の魔法がその程度と烙印を押されて不快に思うよりも(ちょっとは思っているが)そりゃそうかとも思う。

 我のもといた世界でデッドイーターレベルの怪物が暴れたら、文明が滅ぶと言うより世界そのものが破壊されただろう。


 難易度が変わると魔物のレベルだけではなく草木なんかも硬くなる。


 となるとバエルの魔法でバリケードになるくらい硬い木なんかは切れるはずもなく、魔法の剣をすぐに折ってから躍起やっきになって何度も剣を折って魔力を無駄に消費してからやっと同等の硬さのもので切る発想に至ったのだ。


 幸い洞穴の中には角張った石がたくさん見つかったため石探しには困らなかった。

鑑定様が加工しやすい石を見つけてくださった。

 我は愚かにも石を見つけた時点で終わった気でいた。

 それが地獄の始まりだという事も知らずに。


 「いっってぇぇぇぇ」


 石を叩き続けて今日で3日過ぎた、サバイバル生活を始めようと決意してからもう1週間になる。その半分を石を叩くことに費やして…なんか泣きたくなってきた。

 それに虚無感と激痛が我を悩ませる。

 何度石で指を潰しただろう。

 不満を挙げるときりがない。

 指を挟んで悶絶したことはまだ序の口で、石を叩いたり擦り合わせて出た粉塵でむせまくったこと。

 洞穴に溜まった粉塵を飛ばそうと風散ウィンドバーストをほぼ無意識のうちに使って、吹き飛んだと思ったら雨のように降ってきて、半日の間咳が止まらなくなった。


 そんな数多くの苦難を乗り越えて、バエルの周りには3本の石器が並んだ。

 黒曜石のナイフ。これは割とすぐにでき上がった。

 鋭利なのだが、耐久性に欠ける。もしものときの護身用にしておこうと思う。


 次が石斧。木を切るために硬い石を選んだから削るのに時間がかかった。

 何度こいつから出た粉塵によってむせたかを思い出すとまた喉が痛くなってきた。

 木の枝に細工して穴を作り、そこに石斧をはめてつたで縛って立派な石斧に進化した。


 最後が石槍。石を削りに削って、黒曜石にはだいぶ劣るがそれなりに様になっている。

 これも斧のときと同様に、枝に固定することでリーチを確保しただけの簡素なものにした。


 苦労の甲斐あってサバイバル生活4日でバリケードを作ることに成功した。


 よく戦争時に作られたものだから大まかな作り方ならわかっている。

 石斧で伐採した太い枝の先を尖らせて、”スジ草”を石で叩いて繊維状にして編んだ糸で固定して完成だ。


 バリケードを洞穴の周りを囲うように設置してやっとある程度安全を確保したら急に眠くなってきた。


 これまで一日中、敵が来ないか神経を張り詰めさせていたせいで一睡もできなかった。


 近くにある草を刈りとって簡易的なベットを眠気に屈しつつある意識でなんとか作る。

  

 しきつめた草の寝床に寝転がる。

 チクチクしていて寝心地は最悪だったがそんなことは気にならなくなるほどの睡魔に襲われ、全然気にならなかった。

 4日目にしてやっと寝ることができた。

 (おやすみなさい)



どうも作者のからころからです。突然ですが皆さんはキャンプに行きたいと思ったことはありませんか?私は今、猛烈にキャンプに行きたいです!そんな私のキャンプ行きたい欲から始まったサバイバル生活です。悠々自適なサバイバル編をお楽しみください。

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