十六話 格上との死闘
どんどん森の奥に進んでいるが、生き物は未だ出てこない。
まあ、いきなり出てこられても困るのだが……
《
デッドイーターは【潜伏】のスキルを持っていた。
あれから魔法に頼り切ることの愚かさを知った。
それからは五感を《
しかし、そのせいか精神的な疲労が溜まりに溜まって注意力が散漫になっていることをバエルは感じていた。
「流石に疲れてきたな。何処かに休む場所は無いか?」
途中で見つけた大きな洞窟で休むことにした。
多種多様な植物が生い茂り、緑の蔦が洞窟の入り口をカーテンの様に覆っている。
幻想的な風景なのだが、バエルは洞窟の中から水が滴る音しか眼中になかった。
蔦のカーテンをめくり、洞窟の中へと入っていった。
洞窟内はひんやりとしていて、壁から生えた苔から水が滴っていた。
(間違いない。水の匂いはこの奥からする)
「《
光源が無くても視界が確保できる便利な魔法だ。
脱水症状でクタクタのバエルは本能を押し殺し、水溜りに手をかざす。
《
清らかな(ちょっと泥臭い)水が渇いた喉を潤していく。
「ああ〜、癒される〜」
2日ぶりの水に体も心も癒される。
「少し仮眠するか…」
実のところゴブリンの集落を偵察している時も、寝ずに監視し続けたから5日間寝てないことになる。
元々ドラゴンは冬眠で寝ためることが出来るから、一年は寝ずにぶっ続けで活動できるのだ。
もちろん寝ることは出来るが、それはあくまで真似事であり、本当に寝たらちょっとやそっとじゃ起きないくらい深い眠りにつく。
ここで思い出して欲しいのだが、バエルは魔王から龍になったのだ。
この場合、龍になったばかりと言う扱いになる。
よってバエルは寝溜めのストックがない状態になる。
ストックがないから今現在もバエルに睡魔が蓄積されているのだ。
横になりそっと目を
「!!」
水不足で本能が敏感になっていたからか、嫌な予感がした。
考える前に寝転がったまま横に一回転する。
自分が居た場所にはピンクのぬらぬらしものが突き刺さっていた。
(これは舌か?)
舌をたどるが途中で途切れている。
何か勘付き魔法を舌が途切れた場所に打ち込む。
舌の持ち主は空間から滲み出るように現れた。
(なるほど潜伏能力が高いのか。よく気づいたな)
突如現れたそれは光でいろんな色に反射して見える鱗、鋭い
レインボースケイル
Lv470 トカゲ型魔獣種 職業 なし
HP 20049 MP 4080 STR 19090 INT 3380 DEF 6801 AGI 7413
スキル一覧
潜伏Lv2 奇襲Lv2 張り付きLv2
貫通力強化Lv1
称号 なし
備考
光を反射する鱗で自身の身を隠し、静かにチャンスを待つ。
鋭く尖った舌で手痛い一撃を与える。
水辺などで獲物を待つ。
鱗はアクセサリーにも加工できて尚且つ、魔力の通りがいいので冒険者から貴族まで幅広く愛される。
「良かった。攻撃力19090、死ぬ時は苦痛も感じないだろうーー
ピロリン『【不屈の闘志】が発動します。』
じゃな〜い!何考えてんだ我。
絶望する暇があったら生存方法でも模索しろ!」
逃げるか?だめだろうな。
ああいうのはタチが悪いから
戦うしかない。
あの子供ゴブリン達と立場が入れ替わってるな。
「格上との戦闘はあまり経験がないけど今までの格下の戦術を真似るしかないな」
今まで雑魚のことはイマイチ憶えて来なかったのが裏目に出た。
(昔の我の間抜けめ……無駄なプライドを持ちおって)
まずは、
「《
しかしレインボースケイルは本体を見ている。
この程度は想定内、次なる一手を。
「《
煙が両者を飲み込む。
続けて、
「《
辺りの気温が急激に低下し、苔を伝った地下水がつららへと変わる。
(蜥蜴や蛇の弱点は寒さ。奴らは気温が下がると動かなくなる)
勢いを止めるな!
(《
無詠唱化した魔法を無作為に撃つ。
無詠唱化すると威力や効果は落ちるが、直前まで何の魔法を使ったわからなくなる。
「ぐぅぅっ!」
命中しているようだ。
間髪入れず打ち続ける。
先手を取られたら負けるのだ。
今は魔力を使ってでも霧が晴れるまでに最大限のダメージを負わせるのみ。
残った魔力で
「《
的を絞らせないために近距離に切り替える。
最後に深く深呼吸をする。
仕掛けも作った。
勝ちたいでは無い勝たなければ行けないのだ。
「《
攻撃時に冷気の追加ダメージと耐久性にたけたこの魔法に全ての魔力を注ぎ込んで、全ての手は尽くした。
後は全力を尽くすのみ。
「第二ラウンドと行こうじゃないか」
用語説明、
HP=体力 MP=魔力量
STR=物理攻撃力 INT=魔法攻撃力
DEF=防御力 AGI=素早さ
この小説では魔法は《》、スキルは【】を使って表しています。
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