大学の不人気ゼミってこんなかんじだよね多分。

 「大掃除も無事に終わって平和ね。」私は長椅子に寝そべりながら言う。

「まあ、この前は酷い目にあったからな。」マグネスは愉快そうに言う。


「大変ですイリーナさん!来客ですよ?」レオンが駆け込んでくる。

「どうした?血相変えて?」マグネスが尋ねる。

「来客?誰?」私は尋ねる。

「いや、知らない人です。」レオンは首を振る。

「知らない…人?」私は少し身構えた。



「なんだ、教授か。」私は私は安心した。

「そういえばレオンは教授と面識なかったか?」マグネスは首を傾げる。

「そういえば関わりなかったわね。」私は納得する。

レオンは後ろで不思議そうにしている。


「あの…話していいかな?」教授はチラチラこっちを見る。

「かまわんぞ。」マグネスが頷く。

「まあ、単刀直入に言うと依頼なのだが…」そう言うと教授は話し始めた。




王都大学王都キャンパス 

「王都大学のここがすごい!」

「うるさいですよリュウ。」ソフィーがいきなり大きな声を出した竜太郎を注意する。

「それにしても、異世界で大学に来る時が来るなんて思いもしなかったな。」彼は嬉しそうに言う。

「私もですよ。最初の村にいる時からは想像もつきませんでしたよ。」ソフィーも嬉しそうだ。

「学食おいしいな。」

「はい!安くて美味しいです!」二人は嬉しそうに学食で食事する。


「二人とも、奢ってるんだから話くらいは聞いてね?」教授は注意する。

「あぁ、すんません。」竜太郎は食べながら頷く。


「まず、皆さんにやってほしいのはゼミ生のフリです。」教授は真面目そうに言う。

「「「「「え?」」」」」私たちは首を傾げる。

「この時期は悪名高いゼミ間の学生争奪戦が始まります。なので今回の学生争奪戦を支援してほしいんです。」教授は淡々と説明する。

「ゼミ生に頼めばいいのでは?」竜太郎が言う。

「いないんですよ。」教授は寂しそうに言う。

「は?」竜太郎は首を傾げる。

「いないんですよ。ゼミ生が。一人も…」教授は俯く。

「まあ、元気出せよ…」竜太郎は教授の方をポンポンと叩く。


「教授。」私は教授の目をまっすぐ見据える。

「なんですか?」教授は改まった表情の私に気圧される。

「ゼミって何?」私は初歩的にも程がある質問をする。

「イリーナさん、あれですよ。あのうるさい虫。」レオンが言う。

「それセミな?」竜太郎が訂正する。

「ゼミっていうのは…(中略)ってことなんだけど。わかった?」教授は説明する。

「OK。完全に理解した。で、私たちは教授のゼミ生のふりをして勧誘を手伝えばいいのね。」

「そう。完全に理解したと言いつつちゃんと理解してるの学生にも見習ってほしいよ。」教授は頷く。

「そうやって学生のこと下げるからゼミ生がいないんじゃないの?」私の指摘に教授は黙り込む。

「やめてやれ…」竜太郎がそっと私の肩に手を置いた。


・・・・・・・・・


「で、そうやって学生のふりしてればいいのね。わかった。」教授からの説明を受けた私たちは頷く。

「ああ。芝居は苦手だが精一杯頑張る。」マグネスは頷く。

「でも、僕たちはともかく、マグネスさんって学生って雰囲気じゃないですよね。その、年齢的に。」レオンが言う。

「たしかに。私は場違いなのでは無いか?」マグネスも同意する。

「いやいや、学びに年齢は関係ない。うーん。とはいえ違和感があるな。」教授は考え込む。

「そうだ!八留ってことにしない?」教授は提案する。

「ああ、構わんぞ。」マグネスは快く承諾する。

「いいわね八留。」私も同意する。ちなみに私は八留の深刻さをそこまで理解していない。

「なんかよくわからないですけど、それで自然に見えるならいいんじゃないですか?」レオンも言う。

「でも、マグネスだけ八留はなんか可哀想だから竜太郎も二留ってことにしない?」私はよくわからず提案する。

「よし、そうしよう!」教授も頷く。


合計10留のゼミになんて誰が来るんだよ。ほんとそういうところだぞ。竜太郎は教授を見ながら思った。

とはいえ、前途多難なキャンパス編が始まった。

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