マスコミvs冒険者
「すいません。」ギルドにいると身なりの良い男に声をかけられた。
「なんですか?」レオンが尋ねる。
「私は王都の記者なのですが、今迷宮都市について記事を書いています。ご協力いただけないかと思いまして。」男は頭を下げた。
私とレオンは顔を見合わせる。
「かまいませんよ。」レオンが笑顔で言う。
「ありがとうございます!」男は嬉しそうに言う。
「謝礼は?」私が尋ねる。
「え?」男は首を傾げる。
「だから謝礼。ここの人間は無償では動かないわよ。」私は淡々と詰め寄る。
「いえ、これは国民の知る権利のための取材であり謝礼とかはその報道の中立性に反しますのでその…。」記者は目を泳がせる。
「これは親切で言ってるのよ?他のパーティーにタダ働きを申し出てみる?ダンジョンの隅っこに放置された骨になるわよ?」私は凄む。
「そうなんですか?」記者は優しそうなレオンにすがるような目を向ける。
「それは本当ですよ。」レオンは笑顔で答える。
「ひっ…わかりました。謝礼を差し上げます。なので二、三日取材をさせていただければ。」
「これはなんですか?」記者が取り出した目のような形をした魔導具をみてレオンが尋ねる。
「これは、使用者の視覚情報を保存する魔導具です。カメイラといいます。これで取材をします。」
「カメイラ?」
・・・・三日後・・・・・
「今回はご協力ありがとうございました。」記者は頭を下げる。
「いえいえ、いいんですよ。」レオンも頭を下げる。彼は礼儀正しいのだ。
「では私はこれで。」記者は去ろうとする。
「ちょっと待って。」私は呼び止める。
「なんです?」記者はピクリとする。
「みせて?」私は記者の目をみる。
「見せる?変態?」記者は顔をこわばらせる。
「ちがうわ!作った記事を見せてって言ってるの。」私は記者に顔を近づける。
「専用の魔道具がありませんのでここではみせられなくて。申し訳ありません。」記者は申し訳なさそうに言う。
「昨日みてましたよね?なんかぶつぶつ言いながらみてたよね?」私は詰め寄る。
「え?みれるんですか?みたいです!」レオンは無邪気に記者に歩み寄る。
私は性格が悪いのでさりげなく逃げ道を塞ぐ。
「え?でも。」記者は困り果てる。
「みせなさい。」
「見せてください!どんな感じで見えるんですか?」レオンは興味津々だ。
「みせなさい。最後通告よ?」私は記者の肩に防御力カンストの手を乗せる。
「わ、わかりました。」記者は渋々要求に応じて魔導具を鞄から出し始めた。
「じゃあ、始めますよ。」そう言って映像が白い布に映し出された。
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