カップルの間に挟まるのは王が許さないかなって。

 「ひゅ〜、今日は儲けたわね。」私は伸びをしながら言う。


「なんかこっちが盗賊だった気がするんですけど気のせいですよね?」レオンは苦笑いしながら言う。


「相手は盗賊だ。問題ない。」マグネスは頷く。


「そうそう。」私も頷く。


「そういうもんなんですかね。」レオンは困惑する。


「さて、そろそろ解散としよう。今日はとても刺激的だった。」マグネスは満足そうに言う。


「もう行っちゃうんですか?」レオンは寂しそうに言う。


「ああ。即興のパーティーだからな。長居するのも迷惑だろう。」マグネスも少し残念そうに呟く。


「全然いいのよ?」私は呟く。


「いや、しかし、そういう男女二人組の間に入るのはその、我が王がお許しにならないかと…」


「そういう男女って何!あとどんな王?!」私は思わず突っ込む。


「いや、我が王は基本的に寛大だったのですがそういうのには厳しくて。」


「どんな王なんですかね。一回会ってみたいですね。」レオンが言うとマグネスは少し困惑する。


「どうしたのマグネス?」私が尋ねると、マグネスは困り顔で棺桶を指差す。


「我が王はここにいらっしゃるのですが、勝手に謁見の予定を入れていいものか分からず。」


「いいって!大丈夫見せなくていいから!」




「これからもここでお世話になっていいのか?」マグネスは少し嬉しそうに言う。


「いいよ。レオンは?」


「僕からも喜んで!」レオンも嬉しそうに言う。


「そうか。よかった。私は昔から友人を作るのが苦手でな。この心地よいところに入れるなら私も嬉しい。」マグネスは優しい顔で微笑む。




「じゃあ、私とレオンは家に帰るけど、マグネスはどうするの?」


「家はあるんですか?」二人で質問攻めにする。


「家はない。」マグネスは困った顔をする。


「困りましたね。泊めてあげたいんですが、イリーナさんと住んでるのでそんなスペースはないんです。」レオンは申し訳なさそうに言う。


「ほう。二人は結婚しているのか。」マグネスは大真面目に頷く。


「違う!違うから!」


「違いますよ!」二人で全力で訂正する。


「そ、そうかわかった。勘違いして悪かった。」マグネスは半笑いで言う。絶対分かってない。




「家の中に入れてくれなくてもいい。家の外にいさせてくれたらそれでいいのだ。」


「外?ですか?」」マグネスの言葉にレオンは困惑する。




「では、私はこれで。ハブアナイスデイ。」そう言ってマグネスは棺桶に入ると蓋を閉める。


「ちょっと待て!」レオンは焦る。


「どうした?」棺桶の中からマグネスが返事をする。


「いいんですか?王の棺桶なんでしょ?」レオンは棺桶を叩きながら言う。


「その点は問題ない。私は武装したまま王の寝室に入ることを許されていたのだ。問題ない。」


「えぇ…そうなんだ。」レオンは突っ込む気力が失せたような顔をする。




「全く。冒険者は肉体労働なんだから寝る場所はこだわらなきゃいけないのに。」私は狭い棺桶に入ったマグネスを見ながら呟く。


「イリーナさん人のこと…?」レオンが何か言いたげな目で私をみる。


「何?」私は尋ねる。


「いえ、なんでもないです。」レオンはそう言うとそそくさと部屋に入っていった。


何かよく分からないがレオンも疲れているのだろう。


私は今日の稼ぎを再び思い返して小躍りしながら部屋に入った。




「マグネス。色々ものがある棺桶の中でちゃんと寝れてるのかしら。心配ね。首とか痛めるかもしれないし。今度マットレスでも買ってあげようかな。」私は壁に立てかけられながらそんなことを考え、いつしか眠りについていた。


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