報酬をくれなかったので本部に凸します。

 「何か言うことは?」縛られた盗賊に私は問いかける。


「ほんとすいません。」盗賊は項垂れながら謝る。


「なんで私たちを襲ったの?」続けて問いかける。


「その、冒険者を襲って金目のものを集めていました。」盗賊は痣だらけの顔で呟く。


「あの嘘依頼もあなたたちの仕業?」優しく尋ねる。


「はい。ごめんなさい。」口の中を切っているのかぎこちない喋り方だ。




「まあいいのよ。今回は誰も怪我しなかったから、寛大な心で許してあげるわ。」私は首を撫でながら血だらけ痣だらけ手足が変な方向に曲がった盗賊たちを見ながら言う。


「ゆ、許してくれるのか?」盗賊たちは信じられないという表情をする。


「ええ、良くってよ。私は寛大な女だから許してあげるわ。この話はこれで終わり。」私は上品に微笑みながら言う。


「お前は寛大だったのか?執念深いと思っていたのだが。」マグネスは不思議そうな顔をする。


「うるさい!」


「すまない。」マグネスの恐ろしく速い謝罪だ。




「あなたたちの行いは許しましょう。それはそれとして、レオン!」私はレオンを呼ぶ。


「はい!」レオンはそう言って袋いっぱいの薬草を持ってくる。


「依頼されてた薬草持ってきたわよ。報酬の金貨100枚をくださる?」私は笑顔で盗賊に言う。


盗賊は互いに顔を見合わせた。




・・・・・・・・・・・・・




 「あの、拠点に案内したので命は助けていただけますよね?」盗賊はわかりやすくビビり散らかしながら言う。


「いいわ。じゃあ、私はちょっと話してくるから。」私は平和的な交渉のため盗賊の拠点に一人で向かった。


「もしもし!誰かいませんか?」私は薬草入りの袋を掲げて人を呼んだ。


見張り櫓から男が一人顔を出す。


「あの…」




結論から言えば交渉は決裂し、石やら矢やらが降り注いだのでレオンたちに合図を送った。




「ふん!」マグネスの剣の一振りで拠点の上半分を消し飛ばす。


盗賊たちは瓦礫に埋もれなかった者と逃げ回る者の二組に分かれ阿鼻叫喚の地獄絵図になる。




交渉決裂から五分後、盗賊は全面的に降伏した。


拠点はほぼ全壊。死者こそいなかったが皆ボロボロだ。


薬草と引き換えに賠償金兼報酬として金貨153枚を手に入れた。盗賊たちのほぼ全財産らしい。


釣られた初級冒険者たちを襲っていたせいであまり稼いでないのだなと少し同情した。少しだが。


昔被害に遭った故復讐心からここまでやったが、拠点全壊はやりすぎたかと思ったが壊してしまったものは仕方ない。後の祭りだ。


報酬は丁度3人で分けやすい額だったので平等に分けた。

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