第22話 二十二

「是非ともお願いします」

そう言って頭を下げると、皆んな笑顔で頷いてくれました。

そのことが嬉しくて、思わず泣いてしまいましたよ。

だって、こんなに優しい人達に出会えたのが初めてだったんですから、無理もない話だと思いませんか。

それからというもの、毎日楽しく過ごしています。

今では、すっかり仲良しになりましたからね、もう友達みたいなものですよ。

だから、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たりとかしてるんです、えへへっ。

そうそう、この前、街で買い物をしている時に偶然、サナエさんと出会ったので、三人でお食事会をしたんですよ。

その時に、お互いに自己紹介をして、意気投合してからは、よく会うようになったんです。

「ねえ、今度、遊びに行かない?」

そう言われたので、どうしようか悩んだんですが、思い切って行ってみようと思いました。

そして、当日になり待ち合わせ場所へ行くと、既にサナエさんが待っていたので、

挨拶をした後、二人で街を散策することにしました。

それから数時間が経過した頃、日も暮れてきたので、そろそろ帰ろうかと思った時でした。

そんな時にアルヴェルスを見かけたのです。

「あれっ、どうしたんですか、こんなところで」

不思議に思って声をかけると、彼は驚いた様子でこちらを振り返りました。

そうすると、すぐに笑顔を浮かべながら、こう答えてくれました。

どうやら、気分転換のために散歩をしていたそうで、これから帰るところだったそうです。

それなら、私も一緒に付いて行くことにしようと思い、声をかけようとしたその時、

不意に背後から声をかけられてしまいました。

振り返るとそこには、見知らぬ男性が立っていました。

誰だろうと思って首を傾げていると、その人は笑みを浮かべながらこう言ったのです。

「やっと見つけたぞ、英里」

と、私の名前を知っていることに戸惑いながらも、誰なのか尋ねてみたところ、

どうやら、この人は以前、私が助けた男性だったらしいです。

「ああ、あの時は助かった、ありがとうな、お陰で命拾いすることができたよ、

感謝してるぜ、お礼がしたいから、今から俺と一緒に来てくれないか」

そう言って、私の腕を掴んできたので、咄嗟に振り解こうとしたのですが、力が強く、

振り払うことが出来ませんでした。

それどころか、そのまま連れて行かれそうになったので、必死になって抵抗していると、

それを見た彼は、呆れた表情を浮かべながら、こう言いました。

「おい、いい加減にしろ、大人しくしろ、痛い目に遭いたくないだろ」

そう言われてしまうと、何も言えなくなってしまい、黙って従うしかありませんでした。

そうすると、満足したのか、ようやく解放してくれたのですが、次の瞬間、私は悲鳴を上げていました。

そうです、キスをされたのです。

「んっ、んんっ!」

(えっ、何で!?)

突然のことで頭が真っ白になってしまいましたが、どうにか正気を取り戻し、離れようとしましたが、

しっかりと抱きしめられていたので、身動きが取れずにいました。

それでも諦めず、必死に抵抗していたのですが、それも虚しく終わりを迎えてしまいました。

彼の舌が口の中に入ってきた瞬間、私は絶望感に襲われてしまい、涙が溢れてきました。

しかし、そんなことはお構いなしに、どんどんエスカレートしていき、最終的には、舌まで入れられてしまいました。

その時の感覚は今でも忘れられません。

最初は怖かったですが、次第に気持ち良くなっていき、気づいた時には自分から求めてしまっていたのです。

それから暫くして、ようやく解放された頃には、すっかり息が上がってしまっていて、

まともに歩くことすら出来ませんでした。

そんな私を心配したアルヴェルスが声をかけてくれたのですが、返事をする余裕もなく、

その場に座り込んでしまいました。

そうすると、今度はアリサちゃんが近づいてきて、心配そうな表情を浮かべながら、

顔を覗き込んできたので、大丈夫だと言って誤魔化しました。

その後は、何とか落ち着きを取り戻すことができ、宿屋へ戻ることにしたのですが、

帰り道の途中で、先程の出来事を思い出し、顔が赤くなっていることに気づき、慌てて両手で隠しました。

幸いにも誰にも見られていなかったようなので、ホッと胸を撫で下ろしていたのですが、

その直後、突然、後ろから抱きつかれてしまったせいで、驚いて固まってしまったのです。

一体何が起きたのだろうと思っていると、耳元で囁かれた言葉で我に返り、慌てて後ろを振り返りました。

そうすると、そこにいたのは、アルヴェルスでしたので、安心していると、今度は正面から抱き締められました。

しかも、かなり強めの力で抱きしめてくるので、少し苦しかったのですが、同時に心地良さも感じていたので、

抵抗することはしませんでした。

むしろ、このままずっとこうしていたいと思っていたくらいです。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠ってしまっていたらしく、目を覚ますと、

そこはベッドの上だったので、驚いてしまいました。

どうしてこんなところにいるのかと考えていると、扉が開き、そこからアルヴェルスが入ってきたのが見えたので、

声をかけました。

ところが、何故か返事が返ってこなかったので、もう一度、呼んでみましたが、やはり反応がありません。

どうしたんだろうと思いながら、近づいていくと、突然、抱きしめられてしまいました。

驚いて固まっていると、アルヴェルスは、無言のままキスを求めてきました。

私は、それに応えるように目を閉じ、ゆっくりと顔を近づけていき、唇を重ね合わせました。

そうすると、徐々に激しくなり、舌を入れようとしてきましたが、拒むことなく受け入れました。

それから、何度も繰り返していく内に、夢中になっていたせいか、呼吸するのも忘れて、

酸欠状態になってしまいました。

そのせいで、意識が朦朧として、立っていることもままならなくなり、その場で倒れそうになりました。

けれど、それをアルヴェルスに支えられ、ベッドへ運ばれると、またキスをされるのです。

「んっ、んんっ、ちゅっ、ちゅぱっ、れろっ、んむっ」

そうして、しばらくの間、続けていると、やがて満足してくれたのか、ようやく解放してくれました。

それから、アルヴェルスに連れられて、部屋を出た後、アリサちゃんと合流して、朝食を食べました。

街を見て回ることになりました。

まず最初に立ち寄ったのは、洋服屋さんです。

そこで、気に入った服があったので、試着してみると、とても良く似合っていたので、購入することにしました。

それから、色々なお店を回り、必要な物を購入してから、宿へ戻り、昼食を済ませた後、部屋へ戻ってゆっくりしていました。

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