第20話 二十

「ありがとう、俺も愛してるぞ、英里」

と言われて、抱きしめられたので、そのまま受け入れることにした。

暫くの間、そうしていると、お腹が空いてきたようなので、食事をすることにしました。

そうすると、彼が料理を用意してくれたのですが、これがまた美味しいんですよ、特にスープが絶品ですね、

具材がたっぷり入っていて、食べ応えもあるので、いくらでも食べられそうです。

ただ、量が少なかったので、おかわりが欲しいと言ったら、苦笑しながらも、すぐに用意してくれましたね、本当に優しい方です。

食事を終えた後は、散歩をすることにしたのですが、途中で、小さな女の子が一人で泣いているのを見つけました。

その子に近付いてみると、どうやら迷子になってしまったらしく、お母さんとはぐれたみたいです。

どうしようか迷った挙句、放っておくわけにもいかず、一緒に探すことにしました。

暫く探していたところ、運良く見つけることができたので、ホッと胸を撫で下ろしていると、

女の子からお礼を言われましたね、嬉しかったですよ。

そして、別れ際に、名前を教えてもらいました。

なんと、彼女はアリサちゃんというらしいです。

とても可愛らしい子でしたね、それに、いい子ですし、将来はきっと美人さんになると思いますよ、私が保証してあげましょう!

それにしても、彼女を見ていると何故かドキドキしてしまうんですよね、一体どうしたんでしょうか。

まあ、考えても仕方ありませんし、そろそろ戻りましょうか。

そうして私は、アルヴェルスの待つ屋敷へと戻ることにしたのです。

屋敷に帰る途中、ふと空を見上げてみると、綺麗な星空が見えていたので、つい見惚れてしまいました。

ですが、ここで立ち止まってしまうと、帰るのが遅くなってしまうので、先を急ぐことにしましょう。

暫く歩いていると、何やら騒がしい音が聞こえてきました。

気になったので見に行ってみたら、どうやら、何者かに襲われているようです。

急いで助けに向かうと、そこには魔物の姿がありました。

しかも、かなり数が多いようですね、これは骨が折れそうですね。

とはいえ、このまま見ている訳にもいきませんので、魔法で一掃することにしました。

そうすると、思っていたよりも威力が強かったらしく、あっという間に倒してしまいました。

これならいけると思った私は、そのまま進んで行くことにしました。

暫く進んでいくと、大きな建物が見えてきたので、恐らくあそこだろうと思い、中に入ることにしました。

そうすると、中には沢山の人達がいて、皆んな楽しそうに騒いでいたので、私も混ぜてもらうことにしました。

そこで、色々な人と話をしているうちに意気投合してしまい、仲良くなったところで、ある提案を持ちかけられました。

その内容というのが、魔王討伐のために力を貸して欲しいということでした。

なんでも、最近現れた勇者様達が魔王を倒してくれると思っていたのですが、返り討ちに遭ってしまったため、

このままでは不味いと考えた王様が、女神の力を持っている私に助けを求めてきたということらしいです。

最初は断ろうかと思ったのですが、話を聞く限りだと、悪い人ではなさそうな感じだったので、協力してあげることにしました。

というのも、私自身も退屈していたので、丁度いい機会だと思ったからです。

早速、仲間を集めようという話になったのですが、一人だけ気になる人物がいたんですよね、

その人は女性で、名前はサナエと言うそうです。

私は彼女に声をかけてみました。

「ねえ、ちょっといいかな?」

そうすると、彼女は振り返ってこちらを見た後、首を傾げながら、不思議そうな顔をしていました。

なので、自己紹介をすると、彼女も名乗ってくれたので、少し話をしてみることにしたんです。

彼女の話を聞けば聞くほど、興味が出てきてしまい、気づけば夢中になって話を聞いていました。

一通り話が終わると、今度は私から質問してみることにしたんですけど、彼女が答えてくれた内容は驚くべきものでした。

何と、この世界とは違う世界から来たと言い出したのです。

しかも、それは本当みたいで、証拠として、魔法を使って見せてくれたんですよ、凄いですよね、まるで夢を見ているような気分でしたよ。

その後、彼女と仲良くなれたこともあってか、他の仲間達とも打ち解けることが出来たので、一安心ですね。

ちなみに、これからどうするか話し合った結果、一度、街に戻ることになりました。

もちろん、帰りも馬車に乗せてもらうことになったのですが、今回は人数も多いせいか、

荷台の中が狭く感じるんですよね、なので、隣に座っている人にくっつくように座っていると、

何やら視線を感じて見てみると、こちらをじーっと見つめている男性がいることに気づきました。

どうしたのかなと思って声をかけようとしたら、突然、キスをされてしまったので、ビックリして固まってしまいましたよ。

まさかいきなりこんなことをしてくるなんて思っていませんでしたからね、でも、不思議と嫌ではなかったですね。

むしろ、気持ちよかったくらいですから、不思議なものですよね。

それからというもの、毎日のようにキスを求めてくるようになったので、困ってしまったんですが、

別に嫌なわけではないので、受け入れてあげました。

そうすると、今度は抱きしめてきましたね。

その後は、服を脱がされて、下着姿にされましたが、恥ずかしかったですけど、

それ以上に解放感があって良かったので、抵抗せずにされるがままになっていました。

そうすると、いつの間にか眠ってしまったようで、目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋の中だったのです。

驚いて辺りを見渡してみたところ、隣にはアルヴェルスが眠っており、その隣でアリサちゃんが眠っていたんですね。

それを見た私は、思わず赤面してしまいました。

何故なら、二人とも下着姿のまま寝ていたのですから、当然の反応と言えるでしょう。

とりあえず、服を着るために立ち上がろうとしたら、足に力が入らず、その場に座り込んでしまいました。

それでも何とか立ち上がると、ゆっくりと歩き出し、近くにあった衣装棚を開けてみたのですが、その中には何も入っていなかったので、

仕方なく別の部屋へ向かうことにしました。

そうすると、隣の部屋にはアルヴェルスの姿がありました。

しかし、様子がおかしいことに気付いた私は、恐る恐る近付いてみることにしました。

彼の傍まで来ると、寝息が聞こえてきたので、生きていることが確認できてホッとしたのですが、

よく見ると苦しそうな表情を浮かべていたので、心配になりました。

そこで、優しく頭を撫でていると、次第に表情が和らいできたようなので、

安心したのと同時に、愛おしさが込み上げてきました。

そのまま暫く撫で続けていると、不意に手を掴まれてしまい、驚いた拍子に声を上げてしまったのですが、

彼はまだ眠っているようだったので、ホッと胸を撫で下ろしました。

その直後、突然、抱き寄せられると、身動きが取れなくなってしまいました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る