第11話 十一
何しろ、まだ、目的地に着いていないのだから、先は長いの。
果たして、無事に辿り着けるのか不安ではあるが、今は進むしかないだろう。
そう思いながら歩き続けた結果、何とか辿り着く事ができたようです。
そこは、森の中にある小さな村だったが、見たところ、人の気配が全く感じられないことから察するに、
廃墟になってしまったのかもしれないなと思いながら中に入ると、案の定、誰もおらず、静まり返っていた。
やはり、予想通りだったなと思いつつ、さらに奥へと進んで行くと、何やら声が聞こえてきたような気がしたため、
そちらに向かってみると、そこには、数人の男女の姿があった。
彼らは、何かを話し合っている様子だったが、その内容まではわからなかった。
そうすると、その中の一人が近づいてきてこう言ったの。
どうやら、この村の住人らしいが、何故こんなところにいるのかと聞くと、ここは元々彼らの住んでいた家なのだそうです。
それを聞いて納得していると、更に詳しく話を聞いたところ、数日前から様子がおかしいことに気づき、
様子を見に来たらこの有様だったのだという。
そして、その原因について心当たりがあるらしく、それについて話し始める前に、一つお願いしたいことがあると言われたので、
何だろうと思って聞いてみると、どうやら、私についてきて欲しいということだったので、ついていくことにしたのですが、
その際に、他の仲間達も一緒に連れていくことを条件として提示された為、それを承諾すると、すぐに出発することになったのです。
〜移動中の馬車内にて〜
(それにしても、一体、どこへ連れて行かれるというのでしょうか?)
そんなことを考えながら窓の外を眺めているうちに、いつの間にか眠ってしまっていたようで、
目を覚ますと、既に到着していました。
そして、馬車から出るように言われて外に出た後、案内されたのは、大きな屋敷でした。
その大きさに驚いていると、中に通されて、そこで待っていたのは、なんと、国王様ではありませんか!
これには驚きましたが、同時に、どうしてここに連れてこられたのか疑問を抱きました。
ですが、すぐにその理由が判明したので、納得することになりましたが、まさか、こんなことになるとは思っていませんでしたからね。
「さて、よく来てくれたな、歓迎するぞ!」
と言われてしまって、戸惑いながらも返事をすると、早速本題に入ることとなったのですが、
その内容というのが、私を妻に迎えたいというものだったんです。
正直言って、驚いたというより、困惑してしまったんですが、よくよく考えてみれば悪い気はしなかったのですが、
私にはアルヴェルスと婚約しているのですから、丁重にお断りしたのです。
「そうか、残念だが仕方がないか」
と言って諦めてくれたようでしたので、ほっと胸を撫で下ろしました。
ところが、その直後、驚くべきことが起こったんです。
何と突然、国王様が服を脱ぎ始めたと思ったら、そのまま下着姿になって迫ってきたんですよ。
もう何がなんだかわからなくなってしまいましたが、とにかく逃げようとしたのですが、
捕まってしまい、押し倒されてしまいました。
このままでは、まずいと思った私は国王様に向かって神の力を使い吹き飛ばすのです。
「ぐはっ!」
という声とともに壁に激突し気絶したのを見てホッとしましたが、それと同時に自分のしたことを思い出して恥ずかしくなりました。
〜数分後〜
目を覚ました国王様は、自分がしたことを覚えていたのか顔を真っ赤にして謝ってきましたが、
それよりも気になったことがあったので質問してみると、なんでも、私があまりにも魅力的だったからつい襲いかかってしまったのだとか、
でも、後悔していないとも言ってくれたことで安心することができました。
そんな時、ふと視線を感じたような気がして振り向くと、アルヴェルスがこちらを見つめていたので、
慌てて目をそらしたのですが、その様子を見ていた彼は、笑っていたような気がしましたが気のせいでしょうか。
その後、気を取り直して再び歩き始めた私は、その後も色々な人と出会っては別れを繰り返しながら旅を続けていました。
そんなある日のこと、ついに目的の場所に辿り着いたようです。
その場所とは、かつて勇者達が暮らしていたとされる伝説の地であり、かつては繁栄を極めていた王国があった場所でもあるこの場所には、
今もなお当時の栄華を偲ばせる遺跡が残されているのだといいます。
そんな場所を観光しながら、ゆっくりと見て回るのも悪くないと思った私は、早速行ってみることにしました。
暫く歩いていると、やがて見えてきたのは巨大な城でした。
おそらくここが王城だったのでしょうが、今では見る影もなく朽ち果てており、かつての荘厳さは失われているものの、
それでも尚、威厳を感じさせる佇まいで、静かに佇むその姿からは、ある種の美しさすら感じさせます。
私は思わず見とれてしまいそうになりましたが、なんとか堪えつつ先へ進み続けました。
それから暫くしてようやく到着した場所は、玉座の間と思われる場所でしたが、残念ながら中には何もありませんでした。
ただ広いだけの空間が広がっているだけで、他には何もない状態だったので少し残念ではありましたが、仕方ありませんね。
ここにはもう用はありませんから、さっさと立ち去ることにしましょう。
そう思って引き返そうとしたその時です、不意に背後から気配を感じたので振り返ると、そこにいたのは一人の女性の姿がありました。
彼女は私に気がつくと声をかけてきたので、私は咄嗟に身構えると警戒を強めました。
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ、別に危害を加えるつもりなんてないので安心してください」
と言われて、とりあえずは信じてみることにしたのだが、本当に大丈夫なのだろうか?
そんなことを考えていると、彼女が話しかけてきた。
なんでも、私に話があるらしいので聞いてあげることにした。
そうすると、彼女から聞かされたのは私の生い立ちについてだった。
それを聞いた瞬間、驚愕のあまり言葉を失ってしまったが、それも無理はないことだろう。
何故なら私の両親は普通の人間ではなく魔族と呼ばれる存在で、しかもその中でも上位に位置する吸血鬼族だというの
だから驚かない方がおかしいというものだ。
だが、話を聞いているうちにだんだんと冷静になってくるにつれて、彼女の言っていることが正しいのだと理解したのである。
それというのも、実際に体験してみればわかることなのだが、確かに普通ではないと思えるほどの力を持っているのだから信じるしかないだろう。
それに、私自身も同じようなことができるようになったわけだしね。
まぁ、だからといって、どうということはないのだけれども、それはそれとして、これからどうしようかと考えていたら、ある提案を持ちかけられたのであった。
それは、暫くの間、行動を共にすることである。
もちろん断る理由などないわけで、喜んで引き受けることにするのだった。
こうして私達は仲間になったわけだが、まだ他にもいるそうなので、会ってみたいと思うと同時に、仲良くなれるといいなと思っている。
〜翌日〜
今日は朝から出かけることになった。
何でも、昨日のことについて詳しく話を聞きたいということなので、仕方なく了承することにしたのでした。
それから、朝食を済ませた後、準備をしてから出発したのですが、目的地に着くまでの間、特に変わったことは起きなかったので、
一安心したところで、改めて自己紹介をすることになりました。
まずは私からということで、自分の名前を名乗ると、今度は相手の番となったので、順番に名乗っていくことにしたのです。
最初に名乗ったのは、リシアさんという人で、職業は魔法使いだそうです。
次に名乗りを上げたのはマリアさんという名前の女性の方で、彼女もまた魔術師なのだそうです。
私とアルヴェルスはもう婚約者関係ですし、お互いの事をよく分かっているのですから、自己紹介をする必要もありません。
「アルヴェルス、このメンバーで魔王討伐するのは分かりますが、えっと、私は女神の力を持っていますし、
アルヴェルスも強いですし、リシアさんは魔法使いでマリアさんは魔術師なので問題ないと思いますが、
まずは何処へ行くのですか?」
と、聞いてみたところ、どうやら、ここから近い場所にある村へ向かう事になったようだ。
その村は、かつて、栄えていたのだが、ある日、突然、魔物の大群に襲われて、壊滅的な被害を受けてしまったらしい。
だが、不思議な事に、その村の人達は、誰一人として、生き残っていなかったそうだ。
その話を聞いた時、妙な違和感を覚えたが、それが何なのかは分からなかった。
しかし、その違和感の正体はすぐに判明することになる。
なぜなら、私達が、その村にたどり着いた時に、その理由が分かったからだ。
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