第10話 十
それから案内された部屋に行くと、そこは豪華な部屋でした。
「うわぁ〜凄いなぁ〜」
思わず感嘆の声を漏らしていると、彼は笑いながら話しかけてきました。
それに対して私は笑顔で応えました。
しかし、内心では少し焦っていたのも事実です。
何故なら、今の私の姿は、本来のものとは大きく異なっている上に、記憶を失っている状態だからです。
そんな状態で彼と一緒にいると知られたらまずいことになるのではないかと思っていると、彼が尋ねてきたので正直に答えました。
そうすると、何故か納得してくれたようなので一安心していると、今度は別の質問を投げかけてきました。
その内容とは、どうしてここに来たのかと聞かれてしまい、どう答えたものかと考えていると、
彼は続けて質問をしてきたのですが、その答えは意外なものだったのです。
何と、彼は、私に一目惚れしてしまったらしいのです!
それを聞いて嬉しくなった私は、つい顔が赤くなってしまいましたが、すぐに冷静さを取り戻して返事をすることができました。
そうすると、彼もまた顔を赤くしていましたが、その様子を見て可愛いと思ってしまったことは内緒にしておきましょうか。
それから暫く話をした後、夕食の時間になったので食堂に向かいました。
もちろん、エスコートしてもらう形でしたが、その時の気分は最高潮に達していましたね。
何しろ、憧れの人と食事ができるんですから当然ですよね。
それから席に着くと料理が運ばれてくるまでの間、他愛のない話をしているうちに時間が来て、
いよいよ食べることができるようになりました。
「いただきます」
と言って手を合わせると、さっそく一口食べてみました。
そうすると、口の中に広がった味はとても美味しく感じられました。
こんなに美味しいものを食べられるなんて夢みたいです!
そう思いながら夢中で食べていたらあっという間に完食してしまいました。
それから暫くしてデザートが出てきたのですが、これも絶品でした。
特にフルーツタルトは格別でしたね。
ただ、一つだけ気になることがあったので聞いてみようと思ったのですが、先にあちらから話しかけられたので聞くことができませんでした。
どうやら、私が食べたそうにしていたことに気づいたらしく、食べさせてくれたんです。
恥ずかしかったですけど、嬉しかったですし、何より幸せな気持ちになれましたよ。
「ごちそうさまでした」
と言うと、彼は微笑んでくれました。
その笑顔を見たとき、胸が高鳴りました。
そして同時に、もっと一緒にいたいという気持ちになりました。
そこで思い切って誘ってみたところ、快く引き受けてくれまして、一緒に過ごすことになりました。
その後は街を散策したり、公園で休憩をしたりしているうちに日が暮れてきたので帰ることにしました。
「あ~、そういえば、英里、また新しい魔王が誕生したんだよな、何時頃、討伐するんだ?」
「そうですね、明日にでも向かおうと思っています」
そう言うと、彼は驚いた顔をしましたが、すぐに真剣な表情に変わり、こう言いました。
「そうか、なら俺も同行しよう、その方が効率がいいからな、それに君が心配だ、だから、俺と一緒に行こう!」
そう言われてしまっては断れませんからね、仕方ないので承諾することにしました。
〜翌日〜
早速出発することになったのですが、準備に手間取ってしまい、少し遅れてしまいました。
そのせいで、彼に迷惑をかけてしまったようで申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、なんとか許してもらえてホッとしています。
そうして歩いているうちに、目的の場所に到着しました。
「ここが今回のターゲットがいる場所だ、油断するなよ」
彼の言葉を受けて気を引き締めると、慎重に行動するように心がけながら進み始めました。
そうすると、突然、目の前に魔物が現れたかと思うと、襲いかかってきたんです。
咄嗟に避けようとしたものの間に合わず、攻撃を受けてしまい、その場に倒れ込んでしまいました。
幸いにも傷はそれほど深くはなかったのですが、それでも痛みはあるわけで、動くことができないでいると、
そこに追い討ちをかけるかのように攻撃されました。
このままでは危ないと思い、必死に抵抗しようとしましたが、それも虚しく力尽きてしまう寸前になってようやく助けが来たのです。
それはアルヴェルスだったんですが、彼の姿を見て安心したのか、そのまま意識を失ってしまったみたいでした。
「大丈夫か? しっかりしろ!」
という声が聞こえてきて目を開けると、そこには心配そうにしている彼の顔がありました。
それを見て安心すると同時に、嬉しさが込み上げてきて涙が溢れてきました。
それを見た彼は慌てふためいていたので、落ち着くように言い聞かせてから事情を説明しました。
納得した様子で頷いていたので、とりあえず安堵しました。
その後、改めてお礼を言うと、気にするなと言われてしまったので、それ以上は何も言えなくなってしまいました。
でも、その代わりに、何かお返しをしないと気が済まないと思った私は、ある提案を持ちかけました。
それは、暫くの間、行動を共にすることです。
それを聞いた彼は、最初は戸惑っていましたが、最終的には受け入れてくれたようです。
こうして、私達は、旅を始めることになりました。
「ところで、これからどこへ行くんだ?」
そう聞かれたので、私は、こう答えました。
「まずは、仲間を集めようと思います、なので、協力してくれませんか?」
そうすると、彼は、すぐに了承してくれました。
というわけで、早速、探しに行くことにしました。
まず、最初に訪れたのは、酒場でした。
ここでは、冒険者や傭兵、賞金稼ぎなど、様々な人達が集まっている場所で、情報交換の場としても使われているそうです。
私は、ここで、情報を集めることにしました。
まずは、近くにいた女性に声をかけて、話を聞いてみることにしました。
彼女は、とても親切に教えてくれました。
「そうね、この辺りにいる人だったら、あの人がいるんじゃないかしら?」
そう言って教えてくれたのは、一人の女性だった。
なんでも、彼女の名前は、リシアさんと言うらしいのだが、この人こそが、私の探していた人物だったの。
私は、彼女に話を聞くために、声をかけようとしたが、その前に向こうから話しかけてきたの。
しかも、いきなり抱きついてきたものだから驚いてしまった。
それから、自己紹介を済ませた後、詳しい話を聞かせてもらうことにした。
そうすると、彼女の方から話してくれたのだった。
「実はね、最近、妙な噂を耳にしたのよ、何でも、魔王の配下を名乗る連中が暴れ回っているらしくて、
困っているみたいなのよね、それで、私に助けを求めて来たというわけなのよ、まぁ、別に構わないんだけどね、
困ってるみたいだし、助けてあげようかなって思ったわけよ、そういうわけだから、よろしくね」
と、言われたので、私もよろしくお願いしますと言った後、握手を交わした。
そうすると、今度は、もう一人の女性が声をかけてきた。
その人は、マリアという名前の女性で、彼女もまた私達の仲間に加わることになったの。
ちなみに、職業は魔法使いらしいが、他にも色々とできるようです。
それから、三人で行動することに決めた私達は、早速、出発する事にした。
だが、その前に装備を整えなければならないので、武器屋に向かう事になった。
そこで、私は、剣を購入する事に決めた。
そうすると、二人もそれぞれ気に入ったものを見つけたようだった。
これで準備が整ったので、いよいよ旅立つ事となった。
しかし、問題はここからである。
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