第7話 七
ここでは、ドワーフ族の王様がいるそうで、彼は鍛冶師としても有名だそうですよ。
その為、武器防具などの装備品はもちろんのこと、日用品なども多く作られているんだとか。
また、彼らの作る物は一級品ばかりで、品質も良いことから評判になっているのだそうです。
そんな話を聞いた私は、期待に胸を膨らませながら、早速向かうことにしました。
そうすると、そこには大勢の人達が集まっており、まるでお祭り騒ぎのように賑わっていましたよ。
その様子を見て驚いていると、一人の男性に話しかけられました。
その人は、ドワーフの王であるガンツさんと言う方で、私が来るのを待っていてくれたようなんです。
そこで、改めて挨拶をすることになったのですが、やはりと言うべきか、ここでも歓迎してくれました。
そして、まずは宿屋に向かい、荷物を置くことにしたのですが、何故か、一緒に泊まることになってしまったんですよね。
というのも、この宿には空き部屋が無いらしく、困っているようだったので、それなら仕方がないと思い、了承することにしました。
そうすると、彼は嬉しそうな顔をしながら感謝の言葉を述べてきました。
それを見て、なんだか恥ずかしくなってきてしまい、つい顔を背けてしまったのですが、
それが面白かったのか、笑われてしまいました。
「すまんな、別に馬鹿にしたわけじゃないんだぞ? ただ、あまりにも可愛かったものだから、つい、な?」
そんな事を言われながら頭を撫でられると、不思議と嫌な気分ではありませんでしたね。
むしろ、嬉しいというか、もっとして欲しいと思っている自分がいることに気づき、驚いてしまいましたよ。
(あれっ、おかしいな、どうしてかしら、何だかドキドキしてきたわ)
そう思いながらも、なんとか平静を装ってやり過ごしたのですが、その後もずっと見られていたみたいで、
その視線に耐えられず、逃げ出してしまいました。
そうすると、後ろから追いかけてくる気配がしたので、必死になって逃げている内に、いつの間にか街から出てしまい、
森の中へと入っていきました。
暫く走り続けていると、やがて疲れて動けなくなってしまい、その場に座り込んでしまったのです。
その時になってようやく、自分の置かれた状況に気づき、慌てて立ち上がろうとした時、目の前に現れたのは、あの魔物でした。
それを見た瞬間、恐怖のあまり、体が震えてきましたが、それでも必死に耐え続け、その場から離れようと試みたのですが、結局捕まってしまいました。
そのまま押し倒される形で地面に倒れ込むと、その上に覆い被さるようにして、身動きが取れないように押さえ込まれてしまいます。
抵抗しようにも、力が強すぎてどうする事も出来ず、されるがままの状態となってしまいます。
しかし、私はこのままではいけないので、女神の力を使い、その魔物を倒すことに成功するのです。
ですが、その時にはもう、体力がほとんど残っておらず、意識を保つだけで精一杯でした。
そこへ現れた人物によって、助けられることになるのですが、それはアルヴェルスではなく、別の男性だったんです。
一体誰なのか気になったものの、意識が朦朧としていたので、すぐに気を失ってしまったみたいです。
その後のことは覚えていませんが、目を覚ますと、ベッドの上に寝かされていたみたいですね。
起き上がると、見知らぬ部屋だったので、ここはどこだろうと考えながら周囲を見回してみると、
部屋の片隅に置かれていたテーブルに手紙が置かれていることに気づいたので、読んでみることにしました。
その内容は、私を助けてくれたのはアルヴェルスだということで、ここは彼の家の一室だとわかりました。
それから、自分の体を確認してみたところ、特に異常はなかったみたいなので、ホッと胸を撫で下ろしました。
扉が開いて入ってきたのは、なんと、アルヴェルス本人でした。
どうやら、様子を見に来ただけのようでしたが、私が目を覚ましていることに気づくと、安心したような顔をしたので、
心配を掛けてしまったのだなと思いました。
だから、彼に謝ろうとしたのですが、その前に、抱きしめられてしまい、何も言えなくなりました。
それどころか、胸がキュンッとして、顔が真っ赤になってしまったんですよ。
それを見た彼が、心配そうに尋ねてきたので、私は正直に答えました。
「あのね、貴方に助けてもらった時、とても嬉しかったのよ」
そうすると、彼は優しく微笑みながらこう言ってくれました。
「そうか、だが、無事でよかったよ、本当に良かった」
そう言ってくれる彼の言葉を聞いた瞬間、思わず泣いてしまいましたが、彼は何も言わずに抱きしめてくれたんです。
それだけで、幸せな気持ちになりましたね。
暫くして落ち着くと、今度は、彼の方から話しかけてきました。
内容は、これからの事について話したいという事で、それについて話し合った結果、この国を案内してくれる事になったのです。
なので、早速出かける事になり、まずは街の中を見て回ることにしたんですが、途中で立ち寄ったお店で、あるものを見つけたので、
買ってもらうことになりました。
その商品というのは、猫耳カチューシャなんですが、何故そんなものを買ったかというと、単純に興味があったからです。
それで、実際に付けてみてみたら、意外と似合っていたらしくて、褒めてくれたんです。
それが嬉しくて、つい頬が緩んでしまうのを感じながら歩いていると、突然、腕を掴まれて引き寄せられたので、
何だろうと思って振り返ると、そこには、アルヴェルスが立っていました。
「君を探していたんだが、なかなか見つからないから心配したぞ」
そう言われて申し訳なく思ったんですけど、それよりも気になることがあったので、聞いてみることにしました。
そうすると、彼は、何でもないように答えてくれましたよ。
どうやら、買い物に付き合ってほしいらしく、ちょうど私も買いたい物があったので、付き合うことにしたんです。
そうして向かった先は、雑貨屋のようなところで、中には色々な物が売ってありました。
例えば、アクセサリーや洋服、靴などがありましたね。
他にも、食器類なども取り揃えてあるようです。
その他にも、本や家具、それに食材まで揃っていましたよ。
その中でも一番驚いたのは、何と、シャンプーやトリートメントといったものが売られていたことです。
しかも、値段もお手頃でしたので、思い切って購入することにしました。
それからというもの、毎日のように使っていますね。
ちなみに、髪質の方はというと、今ではすっかりサラサラになりましたし、色艶もよくなりましたからね、もう手放せませんよ!
〜ある日の夜〜
(ふぅ、今日も疲れたなぁ……そろそろ寝るかな)
そう思ってベッドに向かうと、なぜかそこにはアルヴェルスの姿がありました。
彼は、私に気がつくと声をかけてきたので、返事をすると、いきなりキスをしてきたのです。
突然のことで戸惑っているうちにベッドに押し倒されてしまい、
「あ、あの、どうしたんですか? 何かあったんですか?」
そう尋ねると、彼は笑いながら答えたんです。
「いや、何、大したことではないさ、ただ、君に会いたくなっただけだよ」
それを聞いて、嬉しく思いましたが、同時に恥ずかしくも感じていました。
(うぅ、そんな事言われたら照れるじゃない、全くこの人は、そういうところがあるから困るのよね、
でも、そんなところも含めて好きになったんだから仕方がないわね)
そんな事を考えていると、急に抱き締められたのでびっくりしましたけど、すぐに落ち着きを取り戻して、
そのまま身を委ねる事にしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます