第5話 伍

目が覚めると、知らない場所にいて、しかも手足を縛られていた為、身動きが取れなくなっており、

どうしたものかと考えていたところ、一人の男性が部屋に入ってきたのでした。

「あの、ここは何処ですか? それと私といた彼は?」

「ああ、あいつなら今頃、お前と同じように捕まっているんじゃないか?」

そう言いながら笑う男性に対して、怒りが込み上げてきましたが、今は我慢することにしました。

下手に暴れても意味がないですからね。

それよりも、まず先に聞かなければならないことがあるので、それについて質問してみることにしましょう。

「貴方は何者なんですか?」

「俺か? 俺は魔王だ」

そう答えた直後、私は驚きのあまり声が出ませんでした。

そんな様子を見た魔王は、笑いながら、さらに続けてこう言ったのです。

「君を俺の嫁になるしかないな、くくくっ」

そう言われると私は魔王を睨みつけながら、

「私には婚約者がいるのです、貴方の嫁にはなりませんっ!」

と強く反発するも、魔王は聞く耳を持たず、それどころか、いきなり抱き寄せられてしまったのでした。

そうすると、耳元で囁かれたので、驚いてしまいました。

(えっ!? 何?)

と思っているうちに、唇を奪われてしまっていたのです。

突然の事だったので、頭が真っ白になってしまい、抵抗することも忘れてしまい、されるがままになっている状態でしたが、

次第に息が苦しくなってきたので、思わず口を開けてしまうと、そこに舌が入り込んできました。

そのまま口内を犯し尽くされていき、同時に唾液を流し込まれていくと、体が熱くなってきてしまいました。

そして、ようやく解放された頃には、完全に蕩けてしまっていました。

そんな私に満足したのか、ニヤリと笑みを浮かべる魔王を見て、

「私は絶対に屈しないんだからぁっ!」

などと強がってみましたが、内心は不安でいっぱいでした。

なぜなら、今の私では、到底勝てる相手ではない事が分かっていたからです。

それでも、諦めるわけには行きません。

なので、何とかしてこの場から逃げ出そうと考えていたところ、突然、大きな音が鳴り響いたので、

そちらに視線を向けると、そこには、アルヴェルスの姿がありました。

どうやら助けに来てくれたみたいです!

(さすがは私の王子様ね)

そんな事を考えている間に、戦いが始まりました。


最初は互角の戦いを繰り広げているように見えたのですが、徐々に押され始めていき、遂には劣勢に陥ってしまったようです。

このままでは負けてしまうと思い、助けに行こうとしたその時、なんと、彼が光り輝いていくではありませんか!

これは一体何が起こっているんでしょうか?

不思議に思っていると、光が収まった後には、見知らぬ女性が立っていました。

その姿はまるで女神のようで、とても美しい方だったんです。

そんな彼女を見た私は、つい見惚れてしまいましたよ。

彼女は優しく微笑みかけてくれましたので、私もつられて笑顔になりました。

その後、アルヴェルスは彼女と共に魔物を倒していきましたが、その様子を見ていた私は思いました。

(やっぱり、あの人の事が好きなのかな……)

そう思うと悲しくなってきましたけど、仕方がありませんよね……だって、二人はお似合いなんですから、私が入り込む余地なんてありませんし、

諦めるべきですよね……でも、そう簡単に割り切れるほど、単純な問題でもないんですよねぇ〜はぁ〜〜どうしたら良いのかしら。

そんなことを考えている間も、二人の様子を見ていると、どうやら決着がついたみたいですね。

そうすると、突然彼女が光に包まれたかと思うと、次の瞬間には姿が変わっていました。

そして、そこにいたのは、紛れもなく、私の知っている人物であり、勇者様その人でした。

しかし、どうしてここに居るのでしょうか。

もしかして、私を迎えに来てくれたとかでしょうか? そうだと嬉しいですね。

まあ、それは置いといて、問題はどうやってここから脱出するかですけど、どうしましょうかね? と考えているうちに、

いつの間にか終わってしまっていたようです。

どうやら、無事に勝てたみたいですね。

よかったぁ〜! これで一安心ですよ。

さて、これからどうするか考えなければなりませんが、とりあえず、この縄を解いてもらいましょうかね。

そう思っていたら、アルヴェルスが近づいてきて、手足の拘束を解き始めました。

やっと自由になれたわ!

「ありがとうございます」

そう言ってお礼を言うと、彼は照れたように顔を背けてしまいました。

そんな様子が可愛くて、ついつい微笑んでしまいます。

そうすると、彼もまた微笑み返してくれるので、ますます嬉しくなりました。

その後、私達は、洞窟を出て町へ戻る事にしました。

道中で色々と話をしながら歩いていきましたけれど、なかなか楽しい時間を過ごすことができましたよ。

それから暫く歩いていると、町の近くまで戻ってきたようでしたので、そのまま私はアルヴェルスと共に町の中へ入ると

何故か、知りませんけれど、町の中は誰もおらず、そこには魔物の群れがいて、私とアルヴェルスは戦闘態勢に入るのです。

「さあ、行きましょうか?」

と言う私の言葉を合図に、一斉に襲いかかってきましたが、負けるはずもありませんから、余裕を持って対処していくことにしました。

そうすると、あっという間に倒し終わり、一息ついているところに、今度はゴブリン達が現れましたが、難なく倒すことが出来ましたね。

その後も、順調に進んでいきますが、さすがに疲れてきたところで、休憩を挟むことになりました。

「アルヴェルス、私にキスして!」

と言うと、彼は少し戸惑いながらも、キスをしてくれます。

そうすると、それだけで元気が出てきます。

それから暫くの間、彼とのイチャイチャタイムを堪能していると、不意に声を掛けられたので振り向くと、

そこには、知らない女性が立っていたのです。

その女性は、自らを神と名乗った後、こう言いました。

「貴方達に力をお貸しします、その代わりに私と愛を育んでくれませんか?」

「はい、喜んで」

即答すると、神は嬉しそうにしていました。

「それでは早速ですが、貴方に力を与えましょう、ステータスオープンと言ってみてください」

と言われたので、やってみると、目の前に半透明な板が現れて、そこに書かれていたのは、以下の通りです。

名前:雨宮英里

種族:人間/女

職業:女神/冒険者

レベル:1/100

HP:100000/10000

MP:30000/30500

攻撃力:100

防御力:50

魔力:5000

俊敏:200

幸運:60

状態:正常

耐性スキル:無し

特殊スキル:鑑定・アイテムボックス(無限収納)

加護:女神の寵愛、美の女神の祝福、運命の糸

称号:神の使徒、運命を切り開く者、覚醒せし者、限界を超えし者、英雄の妻、大商人の娘、元聖女、元王子妃、

魔王殺し、剣聖、魔弓士、賢者、召喚されし者、ハーレムの主、愛の狩人、ダンジョンマスター、

精霊王の友、天使を従えし者、サキュバスキラー、ドラゴンスレイヤー、スライムハンター、世界樹の守り人、

邪神殺し、獣王の友人、竜族と友人、龍人族の盟友、鬼族の姫、エルフの姫、ダークエルフの女王、ドワーフの王、

獣人族の王、吸血鬼の真祖、妖精女王の友人、九尾狐、猫又の友人、妖刀の使い手、聖剣の使い手、魔剣の使い手、

拳聖の弟子、槍使いの弟子、斧使いの弟子、大剣使いの弟子、短剣使いの弟子

とあり、私は見ると驚く余りにどうしていいのか、分からずにいると神はこう言う。

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