第19話 姫様が怪我を負った理由
姫様が怪我を負った理由
愛機を破損してデカブツに乗ったエージの仕事は後方支援、今回は後から付いて行き。
無力化したレーザーポインターを回収すること。
だが2人乗りの機体上部コクピットには姫様が乗っている、まさか彼女を歩かせるわけにはいかないからだが。
「姫様はなんで怪我したんです?」
「あ~ 言ってなかったかしら、私ね あなたたちと同じ戦闘ロボットのパイロットなの」
「もしかして戦闘で怪我をしたってこと?」
「そうよ」
普通一国の姫様が戦場に駆り出されるなんてことはない、まあその国の事情というものがあると思うので、たぶん姫様は緊急事態に巻き込まれ、戦うことを余儀なくされたと考えるのが妥当だろう。
「国に攻めてきたやつらはまず母を攻撃したの、今から10年以上前よ母は怪我を負い治療ポッドで眠りながら体を治すことにしたの」
「私はその時まだ7歳、母が治療でいない間に色んなことを勉強したわ」
「ロボットの操縦もその時に?」
「ええそうよ」
「すでに国を追われ宇宙に逃げていた私たちは何度となく敵に襲われたの」
「逃げてくる最中に立ち寄った星で食料の補給をしていたらいきなり戦闘用のロボットで襲われ、両足と腕そして顔の皮膚半分を失いもう少し遅かったら死ぬところを、現地の宇宙人に助けられ母船に戻り母と同じく治療ポッドに入ることになったのよ、私 気を失っていたからその後の記憶はないんだけどね」
「ああそれで か…」
「目が覚めたときに足と腕の感覚は無いし、ホロウ画面で全身を外部カメラで見たらひどい恰好だった、でもそれよりも自分が負けたってことが許せなかったの」
「姫様無茶しそうだな~」
「無茶じゃないわよ、わが国の最新鋭ガーディアン、テンペストガンマに乗って私は生きて戻ることができたんだから、あの船にはまだ愛機が残ったままだから早く回収してほしいんだけど」
「マジ、スゲ~見てみたい」
「船の回収が始まれば見られるわよ、確か母の機体もあったはず」
「でも姫様共和国政府に保護されれば前線でロボットの操縦することもなくなるでしょ?」
「あ~、そうかもね、でもあの機体は特別なのよ、キコー理論を使った自動運行システムや搭乗者のキコー力を高めるビジュアルパートナーシステムが組まれていて」
「その装置を開発した人はもうこの世にいないけど、そのシステムを欲しがる国は多いんじゃないかしら」
「姫様たちが狙われるのってそれが原因じゃないの?」
「たぶんちがうわ、だってすでに敵は何機か手に入れているはずだもの」
戦えば壊れた機体は現場に残され、敵は当然それを調べるだろう。
だから何年にも渡って追いかけまわすのは他に理由がある。
「姫様のお父上は?」
「彼はどこかに行ったわ」
「死んではいないってこと?」
「そうよ、私が4歳の時、まだ戦争は始まっていなかった」
「彼は私たちを捨ててどこかへ逃げたのよ!」
「あ~ 怒ってらっしゃいます?」
「あ ごめんなさい」
「いや~大変だったん すね…」
「まあね」
「じゃあ運転できるならレーザーポッドの回収頼んでも良いっすか?」
「いいわよ」
「じゃあ上部アームの操作権限フリーにしておきますんで、回収場所に到着したら後ろのコンテナに積んじゃってください」
「わかったわ」
先行するシュウやコッドの後ろを安全を確かめながら回収していく簡単な作業のはずだった。
回収速度は順調そのもの、ポインターを10数個回収したところで地響きが起こる。
「なんだ?」
「ゴゴゴゴゴ」
「おいおいなんかやべーぞ」
【前機作業を中止シェルターに帰還する】
「まさか…」
そう、そのまさか王女たちを追って敵の戦艦が今まさに地表へ接舷しようとしていた。
それは赤、真っ赤な船体、王女たちが乗ってきた船とは違い、大きさはやや小さいが円盤状の船体だった。
その船体は事故現場の左手前側20kの位置、要するにシュウ達からも数キロしか離れていない場所に着陸した。
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