第17話 王女のカベドン
王女のカベドン
驚き駆け付けた男性陣はすぐに女性達から排除されたが何故かシュウだけは残され、目覚めた王女はシュウに詰め寄り壁際まで押し込まれていく、そのか細い腕を俺に向け人差し指で俺の胸を突き刺すようにツンツンと。
【あんたまた見たわね!】
【えっ!】
【見たわ よ ね 私の は だ か!】
【は…見ましたが不可抗力では?】
【じゃあ責任取ってもらえるかしら】
【せ 責任といいますと?】
【私の体を上から下まで、しかも大事なあそこまで】顔真っ赤
【…】
(ドンッ!)壁を叩くいわゆるカベドン
【はい?…】
【じゃあわかるわよね】
【わかりません】
【あんたばか?】
【は?】
【私はね、すでに複数の人に裸を見られたわけよね、裸どころかあそこまで、でもこのままだと全裸を見られた王女様は何処へ嫁入りしたらいいのかしら、答えて!】
【嫁入り?】
【そうよ、うちの国では16歳でお見合い、18歳で結婚なのよ、わかる?】
【それどころじゃ…】
【黙りなさい!】
【ヒッ!】
【いい?全裸見られた王女、どこに出されてもそういうレッテルを張られるのよ、しかもこの戦争で負けが決定、どうなるかわかる?】
【どこへもお嫁に行けない?】
【そうよ、誰ももらってくれなくなるのよ】
【いいやいるでしょ一人ぐらい】
【だから死にたいって言ったわよね、殺してって言ったわよね!】
(俺の話なんか聞いちゃいない…)
【言ってらっしゃいましたね、そういえばすでに忘れましたが…】
【責任取ってもらえるわよね?】
【せ 責任?】
【そうよ、あなたでもあなたじゃなくてもいいんだけど、一番見たのはあなただし】
(そりゃ不可抗力でしょ)
【それともまた死んでもいいのかしら?自殺しても?】
【そ それは…】
【遺書にあなたのことを恨み辛み書いてあげるわ、一生背負わせてあげる】
【じゃあ、どー しろって、言うんだよ!】
【簡単よ、婚約者になりなさい】
【え~ やだよ】
【何?こんな美少女と婚約できるのよ、どこが気に入らないのよ!】
【どこって性格】
【わかったわ、それじゃあ】
それまでとは打って変わり、治ったばかりの綺麗な顔を近付け、まるで今にも泣きそうに両手を前に握りしめ、まるで俺に懇願するかのように口調まで変えてくる。
【私はあなたしか頼る人がいないの、お願いを聞いてください、なんでもいたしますあなたしか頼れる人はいないの、シクシク】
【くさ~~】
(ドンッ!)2回目
【いいわ、お母さまに言いつけてやるから】
ここまでで1クール、その後もあるがそれはまた今度。
要するに彼女は他人が見ていなければかなりキツイ性格で、頭は良く回るらしくTPOをかなり使い分けできる、俺の前以外では猫をかぶっているのだ。
そして今に至るが、隣にいるわが友エージはそれを知らないため王女の事をかわいいという。
まあエージを薦めて自分は逃げるという手もあるのだが、その場合は口封じで殺されるかもしれないという運命もあり得る。
そこまで考えた場合どうするか…その後女王からもお願いされれば、なくなく婚約者に就任することにあいなりました。
「ごめんなさいね、あの子もすぐに忘れると思うし、それまであの子の言うことを聞いてあげてくれないかしら、後でお礼はするから、今すぐにと言われればすぐにでもお礼をするわ~」
「わかりました、仕方ないですが受け入れます、でもお礼って?」
「なんでもよ」
「なんでも?」
そこから先は恐ろしくて聞けなかった、確かにBIWで拡張された脳内ストレージにはそういう経験も対処の仕方もあるにはある、全て先人の爺さんたちの記憶。
だからと言って実際に経験していないものは、即反応できるわけではなく。
予め予想しているシチュエーションに対してのみしか反応できない。
だから女王が言っていることが何なのかに対応するにはもう少し実際に経験してからでないと対応できないということなのだ。
ちなみにこの段階で女性経験などあるわけもなく、彼女さえいない。
このシェルターで男子と同じ数の女子がいたとして、確かに皆お年頃なのだがそこまでに至る気持ちは無い。
単純に俺たちは孤児で、皆仲間で育って来た、恋愛などと言うのは大人になってからという気持ちの方が大きい。
皆が友達でしかも家族、いくら好きになろうとも手を出すなんてできるわけがない、周りはそういう抜け駆けを監視する目であふれており、始めからそういうことに対して皆心に鍵をかけているのだ。
そういう俺も同じ、だから女子と話しても普通に話すが恋愛に関する言葉は出てこない。
たまに大人の話で盛り上がりそういう言葉が自分にふられても、大抵はうやむやに場を濁して終わる。
まあ15歳じゃ早いかなとも思うし、今のところ憧れるのは大人の女性かな。
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