第12話 その情報とは
その情報とは
(な…な…なんじゃこりゃ~~~~)
まるでデータの洪水だった、数千年いや数万年の歴史、それだけじゃない気功術そして気功術師、さらに魔法の数々。
所々で懐かしいおじいちゃんの顔、いや曾爺さんのまた爺さんのじいさん。
歴代の親族家族兄弟の顔や歴史が、俺の頭の中へと途切れなく入ってくる。
何分そうしていただろう、気が付くと俺は一人で食堂の椅子に座っていた。
「あれ?オシアナさんは?」
「何、言っているの?もうここにはいないわよ」
すでに女王は会議室へ出向き今後の対応を話し合っていた、彼女の話では自分がいる限りこの星へも敵は来るだろうと。
そのためコッド隊長は星域を管理する共和国辺境宇宙軍に連絡を取ることにした。
「それでは共和国政府へ連絡しすぐにお迎えに来てもらうよう手配します」
「よろしくお願いしますね」
運が良かったのは星に激突したため宇宙船のコンピューターがダウン、電源がほぼ断裂したためSOSのビーコンが衛星電波に載らなかったことだ。
話によると無茶な瞬間移動を繰り返し、最後はほぼあてずっぽうというか危険を回避するための計算などせず無理やり瞬間移動を行ったためだという。
その少し前まで戦艦からの攻撃を受けていたという、迎撃用のバリアさえも溶かすビーム砲を何発も食らい、船の外壁は溶かされていた。
シュウたちが見た側はさほど変化が見られなかったが反対側に回ると船体の側面はほぼ1kにわたってドロドロに溶けていた。
乗組員は百数十人、途中からは脱出ポッドでチリジリに逃げたため、最後に残ったのは軍人と王族の従者数人。
だからそれほど死体がなかったということだがそれでも数十人が死んだことに変わりはない。
他の星から共和国辺境宇宙軍の宇宙船が来るまでは早くても数日かかる、隊長の話だとその時に墜落した宇宙船の回収部隊も同行してくる手筈だと言う。
「シュウ!どうだった?」
「何が?」
「さっきあの別嬪さんと話していたんだろ」
「ああ~なんかさ特別な情報とかないかなって思ったんだけど、何もないってさ」
(もらったのは過去の歴史だったし…)
「まあそれを聞いたところで、お前に話してくれるわけないジャン」
「そりゃそうだな、でも俺何でそんなこと聞いたんだろ…」
「そりゃお宝が無いなら情報だよな、普通」
「でも王族皆殺しって普通ありえないだろう」
そうありえない話、王族一人放っておいても大した問題は無いはずだ、普通に考えた場合は。
だが情報というのは場合によっては特定の人にとって莫大なお金に変えることができる、戦争まで発展する争いの原因になるようなものも有るのだ。
他人が知って無害だとしても、その情報には一国の王族を皆殺ししなければならないような、もしかしたらそんな秘密が隠されていたのかもしれない。
数万年前ならよくあった話ではあるが、現在の年号は西暦で言ったら4万年を超えていたりする。
科学も発展しキコー力という不思議な力も解析され、人は本来争うことのない生活を送っているはずなのだが、人の欲望はいつまでたってもなくならなかったということなのだろう。
まあ戦争をしている相手が普通の人とは限らないので何とも言えないが。
「そっか…まあ仕方ないよな、それよりダリル爺さんが呼んでいたぞ」
「え?なんで?」
「詳しくは知らないけど操縦がどうとか言っていたな」
「わかった、行ってくる、サンキュ」
「おおまたな」
またなといって別れたがエージとは隣の部屋なのですぐに顔を合わせることになる、わざわざ挨拶するのはそういう決まり事だったりする。
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