第9話 人命救助

人命救助


シュウはキコー力レベル8と全員の中で一番高い、そしてまだ宇宙船まで1k以上と離れており。

ここまでテレパシーを飛ばしても、シュウだけしかテレパシーを受け取れなかったとみた方が良いだろう。


「たぶんレベルの差だろうシュウのキコーレベルは8だったからな」

「でもなんで来るなと?」

「いくつか考えられるが、一つは伝染病やウィルスの蔓延」

「もう一つは内乱、船の中で考えが二つに割れている、もしくは犯罪やクーデターだな」

「どうします?」

「来るなと言われてここまで来て戻るのは時間的に無理がある、それに皆は一般民だが俺はこう見えて一応軍人だからな」

「よし、2手に分かれよう、500メート手前で待機する班と突入班だ、うまい具合に周りは衝突の余波で瓦礫が盛り上がって障害物になっている、突入班に何かあれば即撤退する、なければ後で増援として呼びだす」

「ここからはキコーテレパシーで連絡を取り合う、そうしないと危険な宇宙人に知られた場合危ないからな」

「了解」


そこからは2手に分かれた、今回は男と女に、まあ差別というならそうなるが。

何があるかわからないのにあえて女性を危険にさらすわけにはいかない。


【来てはだめ!】

【隊長また聞こえました】

【この距離でもシュウだけに聞こえるのは何らかの防御機能が働いているのか?】

【気になりますね】

【ああだが行かないわけにはいかない】

【全員防毒ガードを装着】


連れて行かないと言った後にはややふてくされた女子が4人、宇宙船には男ばかり6人で注意深く近づいていく。


【うわ、やはり…】


宇宙船の外には数人の宇宙人が倒れていた。

近寄り脈を確かめ生体反応を調べてみる。


【どうだ?】

【死んでいますね】

【死因は分かるか?】

【外傷はなさそうです、衝突時の重力波による内臓損傷かもしれません】

【外気にウィルスまたは細菌反応は?】

【出ません】


外の死体はほとんど人と同じ外見だが、数人の獣人も混じっていた、着ていたのは宇宙服とみられるが、武器や化学兵器などは見あたらない。


【先に進もう】

【きちゃだめ!】

【また聞こえます】

【俺にも聞こえた】


6人は顔を見合わせ頷くと船の開いた扉から中へと入って行く、船の中は当然のことながらグチャグチャになっており、本来水平になる船体は時計の針が1時半の位置へ傾いて突き刺さっている。

この状態で宇宙船の中へと侵入しても、捜索はかなり難航するだろう。


【とりあえず一番近い部屋からだ、気を付けろ、下の方はかなり深い】

【だめ来ないで】

【また聞こえた】

【君は何処?】

【こないで!】

【どこかわかるかシュウ?】

【なんで俺に?】

【キコーレベルだ、お前が一番高い、相手のキコー波を探ってみてくれ】

【わかった、やってみる】


それから約5分、やみくもに捜索しても時間ばかりが過ぎていく、それならば生存者を先に捜索するのが妥当だろう。

そうすればあとは取り調べをしながら捜索することもできる。

まずは生きていると思われる宇宙人を助け出す。


【下・下です、約50メートル下】

【よし下の隔壁までは3人で降りよう3人はここで待機、全員で行くともしもの時に対応できない】

【俺とシュウそしてクイントついてこい】

【了解】


下に降りていくと隔壁がありもちろん閉じている、扉が歪んでいなければスイッチを探し開けることは可能だ、この宇宙船のシステムもどうやらキコー力を使ったBIW方式。

メインコンピューターは死んでいるようだが末端のサーキット(回路)はそこまで壊れていないようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る