第8話 転移装置を設置する
転移装置を設置する
だがこのロボットを手に入れたとしても今日は持って帰ることができるかどうか、まあそれは今後の調査次第というところだ。
17地区採掘場の一番はずれの瓦礫に陣取り転移ポッドを設置、近くの瓦礫の陰に手に入れたロボットも隠すことにした。
ここから先は電磁波の影響でちゃんと整備した強化ロボットでさえ誤作動を起こす。
転移ポッドの設置場所は瓦礫の陰にしたので電磁波の影響を少しは避けられるだろう、設置した転移ポッドの起動スイッチを入れると、筒状の透明ガラスの曇りがすぐになくなり、筒の中は明かりが灯ると同時に上部と下部の隙間から光がくるくる回りだす。
ホロウ画面の設定を変更し現在地を入力すると、そこからは自動で各種数値が入力される。
「これで完了」
「よし少し離れていろ」
「転送開始!」
「ウィーン」
その後は光るたびに本部シェルターに設置されている転移ポッドから人が送られてくる、なんと便利なのだろう。
だがこの装置は先にも書いた通りキコー力がレベル5以上無いと動かない。
人の持つキコー力で動くシステムを利用している。
「プシュー」
「お~ 初めての転送装置、ん 何かあったのか?なんだ?これ?」
「あー17地区のガーディアンみたいだ、うまいぐあいに手に入れたから」
「ほんとかよ、やったジャン!」
「でも、俺のものにはならないって…」
「そりゃ仕方ないよ、見つけた者がどんどんおいしく頂いたら、言うこと聞かないやつがどんどん増える」
「だよな…」
「よーし みんな聞いてくれこれで10人そろった、ロボットと作業車はここに置いていく、持ってきたバックを各自背負ってくれこの中には防毒マスクや救急用品が入っている、万が一はぐれて一人取り残されても二日は持ちこたえられるはずだ、だが一番は勝手な行動は避けて皆一緒に無事帰ることだ、わかったな!」
「了解!」
目の前と言ってもまだ10kほどあるが本当にでかい円盤?いや葉巻型なのか、本当の形はでかすぎてよくわからない。
真っ黒なでかい塊が半分地中にうずまり、もう半分が地表から生えているという感じだ。
俺たちは少し早歩きでその先を進んでいく、途中の地区は25地区28地区、そして34地区。
思っていた通り各地区のガーディアンは電磁波のせいで沈黙していた。
「障害物はなさそうですね」
「ああ少し不気味だな」
「放射線の量は?」
「それほど高くはないです」
瓦礫の中を進んでいくと5k過ぎたあたりからは、衝突のせいで巻き上げられた土が大量にかぶさっている、被った土の量から考えると宇宙船の下部は相当埋もれているのではと思う。
「よ~し、ここからは注意してくれあの宇宙船に乗っているのは敵か味方かわからないからな」
「了解」
この時点で外気温は10度、すでに氷はほとんど溶け始めているが土がかぶった瓦礫は霜のように氷の塊がところどこに見えている。
墜落した宇宙船はかなりでかいのに表面がやや溶けているだけ、外壁以外は壊れているように見えない、それは墜落したと言うより、何らかの兵器による攻撃を受けたとみた方がいいだろう。
どんどん一行は宇宙船に近づいていく、宇宙船まで約2kの距離に入った時にそれは起こった。
【それ以上近づかないで】
「ん?なんだ?」シュウ
「どうした?」
「声が聞こえた」
「おれはきこえなかったけど…」
「なんて聞こえた?」
「近づくなと」
「なんでシュウだけに?」
「たぶんキコーテレバスだろう、だが…チャンネルの違いか?」
キコーテレパシー、その名の通りキコー力を利用した脳内データ交換の一つ。
勿論特定の人のみに対して通信できるし複数の人に対しても通信できる。
但し誰にでもすぐテレパシーが通じるかというとそうではない、一応スペースノイド法に照らし合わせいくつかの通信帯が決められているが、全員でなく一人のみに聞こえた場合はキコー力のレベルに関係している場合が多い。
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