第6話 作戦

作戦


作戦はこうだ、まずは作業用ロボットで転移ポッドを現地まで運び安全な場所を見つけ設置する、その後は順次瞬間移動すればOK。

但し帰りも使うので、ポッドの設置場所は選ばないといけない。

どちらにしても、そう簡単なことではない。

ポッドの大きさは作業用ロボットならばコンテナに入る大きさなので大丈夫だが。

その設置場所までは誰が行くのかというところだろう。


「では今から参加者を募る」


当然ながら遊びや娯楽のないこの世界で、宇宙人が乗っているかもしれない宇宙船の探索に参加しない者はいない。

会議場にはほぼ全員が参加しており参加表明するのだが…


「それじゃキコー力を測るから一列に並んでくれ」


それからは70人全員のキコー力を測定していく。


「3だな」

「4だ、おしい」

「おおお前は8か参加決定だ、がんばれ」


70人全員を調べた結果、レベル5以上のキコー力の持ち主は10人


シュウ・ミスイ      男15歳 R8

エージ・ゴトー      男15歳 R5

リーザ・アカイシ     女16歳 R6

クイント・ライナー    男30歳 R5

コッド・ジャミル     男38歳 R6

グラニー・ローゼンバーグ 女27歳 R6

シドニー・ブランケット  女22歳 R5

マーサ・オブリガード   女18歳 R6

トラッド・ボクサー    男36歳 R6

サーベン・ミクリヤ    男19歳 R5


以上10名、何故だか俺のキコーレベルはかなり高かった。

それが何を示しているのかはわからなかったが、これが俺の運命を大きく変えるとはこの時までは思わなかった。


「以上10名を2つの班に分ける」

「先行部隊と後行部隊だ」

「男女で分けた方が早くないですか?」

「いやそうするといざというときの考え方が偏る、第1部隊はおれが第2部隊はトラッドが班長をする」

「後は交互に降り分ける」


第1班

コッド・ジャミル     男38歳 R6

シドニー・ブランケット  女22歳 R5

マーサ・オブリガード   女18歳 R6

サーベン・ミクリヤ    男19歳 R5

シュウ・ミスイ      男15歳 R8

第2班

トラッド・ボクサー    男36歳 R6

クイント・ライナー    男30歳 R5

グラニー・ローゼンバーグ 女27歳 R6

リーザ・アカイシ     女16歳 R6

エージ・ゴトー      男15歳 R5


「おれもロボット出さなくていいの?」

「今回は俺が出すから大丈夫だ」


コッド隊長が所持しているのは陸戦用の凡庸強化ロボット、エージの乗るつぎはぎ運搬用と違い一回り大きく運べる重さは倍近い。

それにいざというときの戦闘力も高い、もちろん武器も備えており腕にはニードルアタッカー、背中には電磁サーベル、そして電磁投網。

最後の投網だけシステムとしては古いようだが、要は生け捕りや相手の動きを阻害するときに使う。

この時代の武器に飛び道具は少ない、すでに銃やミサイルはロストテクノロジー、その装置を手に入れても弾を作ることができないからだ。

それに飛び道具の武器はそれほど殺傷力が強くない、もちろんここだけの話ではなく戦争という状況下での話。

強化ロボットスーツがあればそれらの武器は効果が薄いということだ。


「先に第一班が先行、電磁波の強くなる手前まで行く、そして安全を確保し転移ポッドを設置」

「第2班はポッド設置が終わったら順次現場へ転移装置で移動する、そうすれば帰りのエネルギー使用量が半分で済む」


墜落した宇宙船までの距離が50kその手前10kが電磁波圏内だから40k先へと進む、徒歩…いや走って行かなければ有効時間内に到着できない。

重力が0.9だから少し楽だが、それでもキコー力を使用したロボットでも走り続けるのはきつい作業だ。


「明朝6時に出発、8時半に現場の10k手前にて橋頭保を作り、9時に宇宙船へと接近を開始、10時には調査を始める」

「転移装置は安全な場所に隠しておくのとガード装置を設置しておく、一回の調査で終わるわけがないからな」

「万が一アクシデントが起きた時は若い順で帰還すること、これは絶対守れいいな!」

「はい!」

「それではトラッド、シドニー、クイント、グラニーを残し解散!」


もちろん捜索隊以外は通常業務だが、廃棄場のごみ拾いは明日お休みということになる、もしかすると数日は宇宙船の探索がメインになるだろう。

そうしないと安心して仕事ができないだけじゃない、もし外宇宙で紛争が有り戦火がここまで拡大してくるのなら、この星を捨てて逃げるということも視野に入れておかなければいけない。

ちなみにシュウやエージが逃げてきた時に使われたコールドスリープ装置を積んだ脱出ポッドは、他の施設に保管して有り、全てが再度使用可能になっている。

だがその脱出用ポッドは当然のことながら収容人数に限りがある。

10年前にたどり着いた脱出用ポッドは全部で10機、それぞれに20人からの人間を収容できる。

それとは別にコッド率いる辺境宇宙共同体の共和国軍が所属している船も2隻この星にあるので、全部使用すれば全員を逃がすことは可能だが、一応軍船と言うのは民間人が乗れるようになっておらず、星を捨てて逃げるのならば上からの許可が必要になる。

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