勇者一行

俺のいなかった50年間世界いろいろ変わったらしい。

そのせいで地理が全然わからない。

「まずはどこに行くんだ?」

ソコロフに聞くと

「はい、ここから近いところですと、東のほうにある【サスタ王国】でしょうか」

なるほどそこもいいかもな

「わかった、とりあえずそこへ行こう」

「はい、若」こうして俺たちの旅が始まった。

【アルゼ国】から東へ進むと見えてくる街があった。

そこは【エモシオンの街】というようだ。

この街は、とても美しい場所だった。

たくさんの花々が咲き乱れ、蝶たちが優雅に舞っている。

魔都にはなかったある種の美しさがある。

「綺麗なところだな」

思わず呟いてしまった。

「はい、若」

隣にいるソコロフが答えた。

街の中に入ると、活気にあふれており人々が笑顔で行き交っていた。

「平和そうな町ですね」

確かにそうだが……

「なんか変じゃないか?」

「えっ?」

なんだろう……この違和感は……

「たしかにそうですね」

ソコロフにもわかるのか

「なんか嫌な雰囲気ですね若」

そうなのだ、その通りだ。

俺の勘はよく当たる。

「さっきから視線を感じるんだ」

「そうですか……?」

ソコロフには感じないのだろうか?

「どうかしましたか?」

「いやなんでもない」

とりあえず情報収集だな。

「何か情報はないかな?」

俺は近くの露店のおっちゃんに声をかけてみた。

「よう兄ちゃん、見ない顔だね、観光かい?」

「まあそんなとこだ、それより最近なにか事件とかあったか?」

「ん~特にはないかねぇ……どうしてそんなこと聞くんだい?」

「いや、ちょっと人探しをしているだよ」

あまり言いたくないからな、ここは適当に嘘をつこう。

「へ~そうなのか、大変だなぁ、おっそうだ!」

おっちゃんは話を続ける

「ちょうどいいところにきたぜ、この町で今一番ホットな話題を教えてやるよ」

それは助かる

「なんだ?」

「それはだな……」

そしておっちゃんが口にした言葉はとても衝撃的なものだった。

「それは……勇者様がこの近くまで来ているんだよ」

「何?本当か?」

勇者がここに?なぜ?

「ああ、間違いねえ、勇者パーティー様が昨日この街に来たんだよ」

まさに俺にとっては、敵討ちの好機である。

「どこにいるかわかっているか?」

「いやーそこまでは、わからんな」

まあいい、勇者がここにいることがわからばいい。

「そうか、ありがとう」

俺は礼を言ってその場を離れた。

「どうするんですか若?、絶好のチャンスですよ」

「もちろん決まってるだろ」

俺は勇者の場所をソコロフに調べさせている、簡単に見つかればいいが、そう簡単にいかないだろう、まあゆっくり探そう。

それから数日間、勇者を探したがなかなか見つからなかった。

「見つからないな」

「そうですね若」

やはりそう簡単にはいかないか。

「そういえば、若魔法使えませんでしたか?」

「使えるがそれがどうした?」

「それを使えば勇者なんてすぐ見つかるんじゃないですか?」

こいつの着眼点はいいが、おれの使える魔法は攻撃や、防御などしかない、補助系の魔法は使えない。

「そういうソコロフ、お前こそ魔法使えるだろ」

「いえ、私は使うことができません、この‟仮面のソコロフ”魔法ではなく仮面をつけているただ、運動神経がいいただの人ですから。」

そうなると困ったものだな。

「うむ~どうしたものか……」

「そうですね~」

俺たち二人が悩んでいると、突然ソコロフが。

「あっ!あれは勇者一行じゃありませんか、若?」

ソコロフが指を差しながら言った。

確かにいた、勇者とその仲間らしきものが二人、一人は女でもう一人は男か、だが見たところ普通の人間に見えるが。

「まさか、こんな簡単にみつかるとはな」

これはついているぞ、ここで一気に片を付ける。

「行くぞ、ソコロフ」

「はい、若」

俺たちは勇者の方へと向かった。しか勇者一行には護衛がいるみたいだな。

「おい、そこのお前ら待ちなさい!!」

俺たちを呼び止める声が聞こえた。

「なんだ?」

俺たちは振り返り相手を確認する。

そこに立っていたのは、勇者一行の黒髪の女だった。

「あんたら、もしかして魔王とその仲間たちじゃないわよね?」なるほど、ばれたかなら仕方がないな。

「いかにも、その通りだ」

隠す必要はないから、素直に答えた。

「案外、素直に答えるのね」

黒上の女が意外そうに答えた。

「まあな、俺にもいろいろあるんでね」

「ふ~ん、そうか、それで私たちに何か用かい?」

あの事件の時こんな奴はいなかった、きっと新参者だろう。

「いや、特には、ただ、勇者に恨みがあってな」

すると後ろでソコロフが。

「若~そんなことを言って大丈夫ですか?殺されますよ?」

確かにそうだな、あいつは強い気がする。

「そうか、それは怖いな」

「でも、その前に私の質問に答えてくれない?」

この女しつこいな。

「だから、さっきいっただろ、勇者に恨みがあるから、殺しに来たって」

「さっきうらみがあるって言っただけだよね、殺すとは言ってないよね!」

うるさい女だな、早く終わらせよう

「さっさと勇者をだせ」

おれは催促する、はやく勇者出さないかな...

「わっかった、仕方ないわね呼んでくるわよ.........なんてね‼死ね魔王‼ムーンヘイム!」

この女いきなり魔法撃ってきた、頭わいてんのか?

「若、今の私たちでは、こいつに勝てません!」

俺も少し力をもらっただけだからな、こうなったら、最終手段

「ソコロフ、逃げるぞ!」

「はい、若‼」

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