敵探しの旅の始まり
「ここか…」
前回来たときの記憶を頼りに森を抜けて進むと、やがて目的の場所が見えてきた。
そこには小さなな門があって、その奥に見える中くらいの城こそが今回の目的地である【アルゼ国】のはしっこのほうにある村であった。はしっこにしてはにぎわっている。
いやそこそこ栄えているというべきか。おそらく行商人とか旅人などの中継点に使われているのか、町の中に入ってすぐに露店などが並んでおり活気づいていたのだろう。
そこに吟遊詩人風の男の周りに子供が集まっていた、その吟遊詩人の顔に見覚えがあった。
「あれれ~~~魔王様じゃないですか」
「お前は...ソコロフじゃないか!」
彼は魔王四天王の一人、仮面のソコロフだった。
こいつは誰の前でもその‟仮面”をとったことがない、すごくあやしい奴だ。
「どうしてここにいるんですか魔王様?」
「何回も言っているだろ魔王と呼ぶな」
所詮俺は名だけの魔王だ、父上が実権を握っていた。
「いや~すみませんでは、若」
まあいいだろ
「懐かしですね~もうあの事件から50年もたちますか」
「は?魔都が襲われたのは昨日だろう」
何を言ってるんだこいつ。
「あれ~事件のせいで頭おかしくなりましたか若」
失礼なことを言いやがって
「俺がおかしいならお前の方が頭がおかしんじゃないか?」
「そんなわけありませんよ。若が突然消えて皆心配したんですよ」
「俺が消えた?どういうことだ?」
意味がわからない、しかし俺が50年間眠っていたのはわかる。
「まあ、いいですよ若それより良くご無事で」
そう言うとソコロフは自分の胸元に手を当てて深くお辞儀をした。
そういうことをされると俺が困るのだが……
「ああ、なんとか生きている」
「それはよかったです若」
するとソコロフが両手を広げていった。
「さぁ、この再会を祝して飲みに行きましょうか若!もちろん私の奢りで」
「悪いが遠慮しておく、俺はこれから用事があるんでね。それに未成年だから酒は飲めない」
俺は断った。だが
「魔人に未成年なんてありませんよ。」
そう言われてもな
「俺は、酒は好きじゃない」
「ならいいですよ、それよりこれからどうするんですか若」
そうだな
「まあ、やることは一つだよな、敵討ちただそれだけ」
そう、罪のない一般魔人も無残に殺された極悪非道な勇者軍を一人残らず打ち取る、ただそれだけだ。
「では、私もお供しましょう若」
それは頼もしいがこいつ一人だと心配だな
「そういえばほかの三人はどうした」
ほかの三人がいれば勇者討伐もうまくいきやすくなるだろう
「いや~私も逃げるのに必死だったのでわかりません、まああの三人のことですし大丈夫でしょう、きっとどこかに逃げ延びてますよ」
まあ、魔王四天王の名前は伊達ではない大丈夫だろう。
「ほかの三人を先に探したほうがいいですよ、そうすれば勝率も上がりますよ若」
それもそうだな、早く三人がにつかればいいのだが、そう簡単にはいかないだろ気長に探そう、魔王討伐に時間制限があるわけではないのだから。
「では、まいりましょうか若」
「そうだな、これは長く危険な旅になるぞ、それでもついてくるかソコロフ」
「はい、私の運命は若と共に」
忠誠心のあつい奴だな
「では行くぞ」
「はい、若‼」
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