第3話 MP7
中華街から少し離れた高速の下でチンと待ち合わせした。
「メズラシイネ」
「選べるの?」
「エラベルヨ」
「軽い奴がいいんだよ」
「イイノアルヨ」
チンはトランクを開けて。
アタッシュケース取り出した。
「グロック…こんなの手に入るのかよ」
「ソウヨ、サイキンハusトモナカヨシダヨ」
「グロック二丁と豆を頂戴」
「80ネ」
「解った」
「100クレタラオマケスルヨ」
「何?おまけって?」
「サイキン…オレラモタイヘンデネ」
「いつでも大変だろ」
「ソウダケドネ、ハングレノガキタチガウザッタイノヨ…アイツラ殺し屋マデヤトッテルヨ」
「殺し屋…」
「ソイツラツカッテアバレテルヨ。カギョウモウツテナイカラヨコハマカラモテッタイスルヨ…ソノウチネ」
「カギョウカネナイ、ハングレカネアルーカギョウハモウオワリ…ツマリ日本ハオワリダヨ」
「よく喋るな…」
「鉄ちゃんノアニキモコロサレタデショ?ソノホウフクデショ?」
「半グレなんて興味ないし、どうなろうと関係ないよ。ヤクザだって昔は半グレだろ?日本人なんて殆ど居ないんだからさぁ…それより女の殺し屋も居るのか?」
「イルヨ…オレモネラワレテル」
「まじか!」
「ナカナカイイオンナダヨ」
「会ったのか?」
「オレノミガワリ二オトトイ“キン”ガコロサレタヨ」
「キン……」
俺はタバコを咥えてチンにも差し出した。
二人でドブ川を見ながらタバコを吸った。
一昨日。
いつものラーメン屋で飯を食べて奥の部屋で麻雀をしている。
五人の若い奴がラーメン屋で飯を食べながらくっちゃべっている。チンを始め幹部達は暖簾の奥の部屋で麻雀を始めている。
黒いハット、黒いロングコートとサングラスをかけた女がラーメン屋に入ってきた。
外のネオンが女のシルエットを映し出している。
飯を食べるチャイニーズ達は気付かないで談笑を続けている。
女は店内を見回した。
ターンテーブル席が2つ左右にあり左奥に厨房、右奥にはカーテン…奥から複数人の話し声が聞こえている。
女は一息ついてコートのボタンを取ってワンポイントスリングにぶら下げた装填済みのmp7を構えた。
まずは左席の五人の頭を冷静に狙った。右奥、左奥、右、左、振り向く手前の男ー。厨房から白衣の男が顔を覗かせた所を撃った。ほんの数秒間でラーメン屋は終わった。
依頼を受けているのはチンと言う男だが危険は経費を掛けても排除する。まぁサービスである。
つづく
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