第112話 アルニタスを守りたい!①

「これって、もしかしてスマホ?」

 彩香は透が出したものを受け取って、言った。

「うん。ママ、でんわやメールができるとべんりっていっていたでしょう? ぼくもとうまくんとはなしたいし、ゲームもしたいからつくってみたの。でもむこうとくらべると、できることはすくないけど」


「透……天才?」

 弘樹は彩香から透作のスマホを受け取り、言った。

 彩香が天才なのは知っていたけど、透はまた別方面の才能があるみたいだ、と弘樹は思う。

「ずっとつくっていたのは、これだったんだね」

「うん、パパ」

 透はなぜか恥ずかしそうに笑った。

「ねえ、これって、日本とつながるの?」

 彩香が尋ねると、透が言った。


「あのね、ママにまりょくでんち、つくってもらったでしょう?」

「うん」

「まりょくでんちで、うごいているから、まりょくでんちがついているスマホなら、つながるの」

「日本とも?」

「うん、にほんとも。たぶん、ポータルがあるせいだとおもうけど」

「じゃあね、これを持っていたら、例えば王都と《最果ての村》でも話が出来るってこと?」

「まだ、どこまでとどくかはわからない」

「まあ、だんだん改良していけばいいわよね! 透、ありがとう!」


「あのね、ゲーム、できるんだよ!」

「は?」

「だって、ぼく、ほんとうはゲームしたくて、これつくったの」

「……なるほど! 好きって大事ってことよねっ」

 彩香は透をぎゅっと抱き締めて言った。

「うん。ぼく、ゲーム、すき。それで、ママがでんわが、とか、メールがとかいっていたから、くっつけたの。おじいちゃんにいろいろきいたんだ」

「うんうん。透のおじいちゃんは賢いからねえ。ふふふ」


 弘樹は、その会話を聞きながら、天才一家恐るべし! と思ったのである。

 でも。

 なんだか楽しい方向に向けて、その才能を使っているから、いいかな。


「ねえ、パパ! 今のこの話、ミドリちゃんたちやペガくんにも話したい!」

 楓がぱっと立ち上がって言った。

「えーと、ルーの話もしていいのかな?」

 弘樹はルーを見た。

「……特に秘密だと言われているわけでもないから、いいと思う。ドラゴンの話はむしろ、ドラゴン王の方がよく知っているんじゃないかな」

「そうか。じゃあ、みんなで、ピンクちゃんたちのところへ行こうか」

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