第51話 王城の地下書庫の、禁断の書②
玉座に座った王様が言った。
「我はマーティアス=ラングハイム王である。今回、アンデッドを倒してくれたのは、そなたたちで間違いはないか?」
「はい!」
僕たちが返事をすると、マーティアス王は玉座から下りて来て、僕たちの前に来た。
そして、膝を折って言った。
「心から礼を言う。本当にありがとう」
マーティアス王の黒茶の髪がさらさらと流れた。顔を上げたマーティアス王の瞳はコバルトグリーンだった。
あれ? 誰かに似ているな?
「ときに、我が妹、アベールは元気にしているか?」
アベール! もしかしてベルンハルト様の奥方のアベール様⁉ 王様の妹だったの⁉
「ええ、元気でいらっしゃいますよ。お子様のフェルディナント様もお元気です」
彩香はにっこりとしながら答えた。
なるほど、彩香は知っていたんだ、と思った。何しろ謎の人脈はどんどん広がりを見せているからね。そして、僕たちのことをマーティアス王は知っていたに違いない。ペガサスは非常に珍しいから、話を聞いていればすぐに彩香と僕だって分かるよね。ルーだって人狼だけど、でも、それに驚いている様子もないから、やはり最初から知っていたのだと思う。
「そうか。久しく会っていないのでな。手紙のやりとりはしているのだが。今度のことでは迷惑をかけてすまなかった」
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