第49話 王都へ③
ペガくんに乗った彩香、そしてピンクちゃんに乗った僕とルーは、王城に辿り着いた。
「お城、広いねえ。どこから出て来ているんだろう?」
下に降りずに上から見て、言う。
「王城の上の方にはアンデッドいないわね。地下かしら。――あ! 人がいる!」
彩香の視線の先を見ると、兵士らしき人たちがいて、アンデッドと闘っていた。しかし、剣はただの剣らしく、切っても切ってもアンデッドは倒せなかった。そしてその中の一人がアンデッドにやられそうになって悲鳴を上げたとき、彩香が言った。
「〔エリア・ヒール〕‼」
彩香から眩しい光が放たれ拡散し、王都いっぱいに広がった。
その光はアンデッドの動きを弱め、そして兵士たちの傷を治し疲れを取り去り活力を与えた。どうやら彩香の〔ヒール〕は特別で、ただの回復魔法ではなく、魔物を弱体化させる効果があるようだ。
兵士たちの視線が僕たちに注がれた。
「ねえ!」
彩香は兵士たちに向かって言った。
「このアンデッド、どこから湧いて来ているの? 案内してくれる?」
僕たちは兵士に案内され、アンデッドを倒しながら王城の地下へと向かった。
建物内にはピンクちゃんやペガくんは入れないので、外にいるアンデッドを倒してもらうことにして、しばらく別行動をすることになった。
まあ、ペガくんは「ボクは戦闘向きではないから」みたいに言っていたらしいから(彩香情報)、王城の上で待機しているみたいだけど。ピンクちゃんやペガくんと別行動をするとなったとき、ペガくんは僕の方をじっと見た。それはきっと「アヤカを守れよ」ということだと思う。ペガくんは相変わらず彩香が大好きなんだ。楓も好きだけど。そして最近では、僕のことも、少しは認めてくれているような気がする。
彩香とルーと僕は、兵士たちに案内されながら、地下へと向かった。
アンデッドはかなり弱体化していたので、進みやすかった。しかし、何しろ数が多い。
すると彩香がもう一度、「〔エリア・ヒール〕‼」と言って、光を放った。
「すごい。アンデッドが次々に倒れていく。それに疲れもとれる」
ルーが感嘆して言った。
彩香はにっこり笑うと、「さ、急ごう!」と言った。
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