第43話 ピンクちゃんの恋人②

 この先は、彩香に後から教えてもらった話。

 僕にはドラゴンの言葉は分からないからね。



 僕たちはドラゴンの王のところへ案内された。

 ピンクちゃんのおじいさんであるドラゴンの王は、冴えた青色で角度によっては銀色にも見えるドラゴンで、金色の瞳をしていた。


「……よく戻った、我が孫よ」

 深くて響く声でそう言った。

「おじいさま、初めまして」

「初めて、という感じはしないのう。ドラゴンネットワークで繋がっていたし、それにそなたの姿はそなたの母親、そっくりだ」

 そこでピンクちゃんが笑ったのは、僕にも分かった。

「……その子が『竜王の舞い』で誕生を喜んでいた、子どもか?」

「はい。カエデ、と言います。それから、カエデの両親のヒロキとアヤカです」

 僕たちはそこで、ドラゴンの王に頭を下げた。


 ドラゴンの王は、やさしく目を細めた。

「そなたたちのおかげで、我が孫はドラゴンの里に還ることが出来た。礼を言う」



 その後、僕たちはドラゴンの里で歓待された。

 楓はいろんなドラゴンと遊んでいた。どうも自由にドラゴン語を話せるらしい。なんとなく、彩香より、言語能力が高いような気がする。


 ピンクちゃんは、ある一頭のドラゴンとずっと寄り添っていた。

 それはきれいなターコイズ色をしたドラゴンで、その色はベルンハルト様の瞳の色とそっくりだった。


「ピンクちゃんの恋人なんだって」

「え? そうなの?」

「ドラゴンネットワークで知り合ったらしいわよ」


 ドラゴンネットワーク、恐るべし! なんと、恋人も見つけられるとは!

 ピンクちゃんはとても甘い顔をして、ターコイズ色のドラゴンとずっといっしょにいた。

 ピンクちゃん、もしかして、ここに残りたいのかな?

 ふとそんなことを思った。


 ドラゴンの里から見下ろす世界はとてもきれいで、幻想的だった。ペガくんが彩香に何事か話していて、どうやらペガくんの故郷を教えているらしかった。

 雲海の下に広がる草原と森と。


 ドラゴンの里はとても美しい場所だった。


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