3.ピンクちゃんの里帰り
第41話 ドラゴンの里へ
ピンクちゃんがドラゴンの里に行きたいって言ったそうだ。
彩香から聞いた話だけどね、こんな風に話をしたらしいよ。
「あたし、一度ドラゴンの里に行きたいの。カエデちゃん、大きくなったでしょう? アヤカちゃんが二人目の赤ちゃんを妊娠する前に行きたいと思って」
「ドラゴンの里はどこにあるの?」
「《峻厳の山脈》の頂上に。……アヤカちゃんもいっしょに行って欲しいけど、乗り物酔いするから、難しいわよね」
「あ、それね、解決したかも?」
「え?」
「だから、あたし、いっしょに行くわ。ヒロキくんもカエデもいっしょに行くのよね?」
「うん! あたし、おじいさまにアヤカちゃんたち、紹介したい!」
「おじいさま?」
「うんそう。ドラゴンの王様なの!」
「え⁉ ピンクちゃんって、ドラゴンの王様の血筋なの?」
僕は驚いて言った。
「そうなの。お母さんが人間に捕まって、弱って死んでしまったみたい。それを知ったお父さんも」
「ピンクちゃん、かわいそう……。人間、恨んでいないのかな」
「お母さんやお父さんのことは悲しんでいるけど、人間のことは恨んでいないって。あたしたちのこと、大好きだって!」
「それはよかった! あ、ねえ、乗り物酔い、解決したって、どういうこと?」
「ああ、それね! あたし、酔い止め作ったの!」
彩香はへへへと笑った。
酔い止め! なんていう発想‼
「でもまあ、ドラゴンの方が揺れるから、あたしはペガくんで行こうと思うんだけど」
そんなわけで、僕たちはみんなでドラゴンの里に行くことになった。
あ、そう言えば。
さらっと言っていたけど、彩香って、二人目の子どもが欲しいって思っているんだよね?
僕はなんだかいろいろ想像して、顔を赤くした。
「ピンクちゃんち、たのしみー!」
楓は飛び上がって喜んだ。
「楓はパパとピンクちゃんに乗るんだよ」
「うん! あ、ルーは?」
楓はルーを振り返った。
「ルー、ルーはお留守番お願いしていい?」
彩香はそう言った。
「いいよ。学校でルネちゃんやシリルくんたちが待っているし」
学校は少しずつ動き出していて、村長さんちでの子どもの集まりは学校で行われるようになっていた。ルーは毎日学校に行き、子どもたちと遊んだりしながら、いろいろなことを教えていた。
「……いいなあ。あたしもルーといたいな」
ルーが大好きな楓がそう言うと、外からピンクちゃんの鳴き声がした。
「あ! うん、だいじょうぶ! あたし、ピンクちゃんもだいすき! いっしょにいくよ!」
……なんか、ピンクちゃんとふつうに会話している……。
楓にとっては、人狼もドラゴンもペガサスも、そうして村の友だちも、みんな同じ「仲良し」なんだな。
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