第40話 人狼って、優しくて強いんだね②

「学校みたいなものを作るといいって、ずっと思っていたのよね」

 ルーが子どもたちと遊ぶ様子を見ていた彩香がそう言った。

「学校?」

「うん。まあ、この子たちの年齢見ると、幼稚園から小学校くらいのものだけど。学びは必要だと思うのよね。それに、薬草の知識も水車を作る知識も、もしかして小さいうちから学んでおいた方がいいかとも思うの」

「なるほど」


「いずれにせよ、子どもたちを安心して預けられる場所があると、みんなたすかるわよね」

「うんうん」

「ねえ、弘樹くん!」

 あ、あれが来るな、と思って僕は身構えた。

「あたしね、学校建てたいな! とりあえず、建物だけでも!」


 そして僕たちは村長さんたちと相談して、村の中心に学校を建てることにしたのである。



 ルーは実に働き者だった。

 優しくて力もあったし、最近はだいぶしゃべるようになっていた。

 そう、学校を建てるとき、ルーは本当によく働いてくれた。水車を造ったときや家を建てたとき、ルーがいたらよかったなあ、と思わずにはいられなかった。


「ルー、疲れていない?」

「全く。どうも、オレは君たちより力もあるし疲れにくいみたいだ。それに、ふかふかのベッドとおいしいごはんがある。――ありがとう、ヒロキ」

「いや、たすけられているのはこっちだよ」

「役に立てているなら、嬉しい」

 ルーはたぶん、いま、笑った!

「すごく役立っているよ! そうそう、今日の夜ごはんはとんかつだよ」

「とんかつ! どんな食べ物だろう?」

「人気メニューだよ」

 僕はそう言って笑った。

「ヒロキの作るごはんは本当においしい。それに、みんなでごはんを食べることが、とても楽しい」

 僕はルーのもふもふの背中をぽんと叩いた。

 ごはんはみんなでいっしょに食べれたら、幸せなんだよね。


 出来上がった校舎を見ながら、僕とルーは、なんだか満ち足りた気持ちになっていた。


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