第27話 村のために僕たちが出来ること③
僕たちはうどんの麺を仕上げ、それから茹でた。
醤油がないので、まずは焼うどんを作ってみた。おいしかった! それから、出汁と塩にちょっといろいろ足して、うどんっぽいものを作った。……うまいー‼
試作品のはずだけど、僕たちうどん試作班はもりもり食べた。
ディオンさん奥さん、つまりシリルくんのお母さんのシーラさんも試作班の一人で、すごく張り切っていたし、もちろんジョアナさんも試作班の一人。ジョアナさんは「新作……新作……」とつぶやいていた。
シリルくんもロラちゃんも、その友だちたちもちゃっかり試作品食べてたし、ディオンさんも食べてた。みんな頑張ったからね。ディオンさんは特に水車改良では一番頑張っていたと思う。ヒルダやミナたち薬草隊もうどん作りに奮闘していたよ。
みんな、いい顔してる。
すると、ピンクちゃんが僕に何か訴えかけてきた。……よく分からないけれど、どこかに行きたいみたい。僕はとりあえず、うどんパーティしている村のみんなに「ちょっとピンクちゃんと行ってきます」と言って、ピンクちゃんの背中に乗った。
ピンクちゃんは《天に続く道》の方へ飛んで行った。ピンクちゃんは遙か遠くが見えるから、何か明確な目的物があるに違いなかった。
ふと見ると、白く動くものがあった。
彩香だ! ペガくんに乗った彩香だった。
「彩香!」
「あ、弘樹くん。よかった、ピンクちゃん、分かってくれたんだね」
って、もしかして呼んだのは彩香?
ピンクちゃんは地上の降り立った。
「どうしたの、彩香」
「うん、《城塞都市ルミアナ》に行ったらね、すぐにベルンハルト様にお会い出来たの。それで、うどんを食べていただけることになったのよ」
「え? ベルンハルト様、そんなにすぐにお会いしてくれたの?」
「ペガくん効果は大きかったよ!」
「ペガくん効果?」
「ペガサスがね、幻だとか奇跡の生き物だって言われているの、ほんとうなんだね。ペガくんに乗っているだけで、ベルンハルト様の従者の方からお声がかかったんだよ」
……それを見越して、ペガサス欲しいって言ったとか? ――まさかね。
ペガくんが僕を見てドヤ顔で「ふっ」て笑ったような気がした。
「でね、そろそろ試作のうどん、食べ終わったころかな、と思って! ピンクちゃんに弘樹くんを連れて来てってお願いしたの」
「お願いって……」
「ドラゴンは思念伝達出来るって教えてあげたでしょ? あたしとピンクちゃんは双方向ではないけれど、意志の伝達が出来るの。ピンクちゃんはあたしの考えをキャッチ出来るんだよ。今までも試して成功しているから、使ってみたの!」
って彩香は笑う。
ピンクちゃんと仲がいいとは思っていたけど、まさかそんなことをしているとは。
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