第14話 ドラゴンってお役立ち!②
さて。
そんなわけで、僕たちは貸しドラゴン業をすることになった。
最初は子どもたちを乗せて飛ぶくらいだったけど(果物一つとかでね)、次第にいろいろな物を輸送するようになった。噂が広まり《最果ての村》だけでなく、近隣の村からも依頼が来るようになった。
しかも、彩香は謎の人脈を築いていて、冒険して魔物を倒さなくても、ドラゴン業だけでも食べていけそうなくらい、依頼が次々にきた。
……僕はやっぱり、彩香はもともとここに住んでいたんじゃないかと思ってしまう。
「弘樹くん」
「あ、うん、何?」
僕は「彩香はもともとここに住んでいたんじゃないだろうか」という疑惑を抱いていたことを見透かされた気がして、ちょっとどきどきした。
「あのね、村長のイヴォンさんのお孫さんのシリルくんが迷子になっちゃったみたいなの」
「えーと、イヴォンさんのお孫さん?」
僕は思い浮かべたけれど、すぐに顔を思い浮かべることは出来なかった。
「シリルくん。五歳の男の子だよ。小麦色の髪にオリーブグリーンの瞳の。ちょっとやんちゃな子。分かる?」
「全然分からない……イヴォンさんは最初に挨拶したから分かるけど」
彩香は、もしかして、村の人全部頭に入っているのだろうか。いや、もしかしなくても会った人全部覚えているに違いない。
「それでね、シリルくん探しを頼まれたの。ピンクちゃんで飛んで探してもらえないかって」
ピンクちゃんに乗るのは僕の役目だね。
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