第13話 ドラゴンってお役立ち!①

 僕たちは《最果ての村》に戻り、ジョアナさんに教えてもらって、まずはピンクちゃんを所定の置き場に連れて行った。ピンクちゃんにすっごくお金がかかりそうだなあ。餌代もかかるし、場所代もかかるし。でも、彩香がピンクちゃんと楽しそうに会話をしているのを見たら、もうなんでもいい気がした。


 ところで、《城塞都市ルミアナ》ではドラゴンはそこまで珍しいものじゃなかったけれど、ここ《最果ての村》ではドラゴンはかなり珍しいものだったようだ。そうだよね、見たことなかったもん。


 そんなわけで、みんながピンクちゃんを見に来た。

「わー、すげー!」

 特に子どもたちは興味津々だ。

「でしょ、すごいでしょ!」と、ジョアナさんの娘さんのロラちゃんが、なぜだかすごく得意げだ。胸を張って、ピンクちゃんを紹介したりしている。しかも、ピンクちゃんと仲良しになってもいる!

「オレ、ドラゴン、乗りたい!」

「あたしも、乗りたい~」

 まあ、そうなるよね。

「えへへー いいでしょー」

 って、彩香。きみはドラゴンで空飛べないけどね。

 と思いながら見ていたら、彩香が言った。


「じゃあね、貸しドラゴン業でも始めようかな?」

「え?」

「みんな、ドラゴンに乗りたいじゃない? あたしたちはお金や食糧が要る。ピンクちゃんを買ってお金なくなったし、ピンクちゃんにお金かかるしね。いい餌がいいしね。ね、ピンクちゃん!」

 ピンクちゃんは「そうだねっ」とでも言うように、ひと声鳴いた。


「だから、時間を区切ってピンクちゃんに乗せてあげて、お金や食糧をもらうの。どう?」

「いいけど、ピンクちゃん飛ばすの、僕だよね?」

「うん、そう! あたし、ピンクちゃんとは仲良しだけど、空は乗り物酔いするから、弘樹くん、よろしくね!」


 彩香がそう明るくのたまうと(彩香と僕は、二人きり以外のときはここの言語で話している)、ロラちゃんは目をきらきらさせて(どこかで見た目だ……)、「ピンクちゃん、乗れるの⁉」と言い、ロラちゃんの友だちのマノンちゃんも「あたしも乗る!」と言い、そこにいた子たちみんなが、わーいわーいと喜んで、走り回った。

 彩香は走り回る子どもたちを見て「かわいいね」と、目を細めて言った。

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