第2話:三びきのやぎのがらがらどん
昔々、『がらがらどん』という同じ名前の三匹のヤギがいました。
そのヤギ達は、太るために山の草を食べに行くことにしました。
ところが、山登りの道中に危険が待ち受けています。
谷川の橋の下には、キミの悪い大きなトロルが住んでいたのです。
それでも山を登るためにはその橋がある場所を通らなければなりません。
歩くスピードが違うヤギ達は一匹ずつトロルの住処を越えていくのですが――。
「ドーッドッドッド! この橋の下で待ち構えていれば美味しいご馳走にありつける気がするドロル~」
このトロル。なんと通常のトロルよりも何倍もデカイ! 説明不要な程にジャイアント! ちょっと笑い方と語尾が頭悪そうだけど、いまかいまかと獲物を待ち構えられる程度には狡猾です。これではヤギさん大ピンチ!!
「獲物が橋の上を通ればかたこと音がする。それが聞こえた瞬間が、ご馳走の合図ドロ~!」
余裕たっぷりのトロルは待ちました。
すると、まず一匹目の一番小さなヤギが現れます。
「僕は一番小さくて非力なヤギ! けど、ジャンプ力には自信があるんだ♪」
小さなヤギが宣言した次の瞬間、彼は大変軽やかに《橋》を大ジャンプで飛び越えていきました。その跳躍音を聞きつけたトロルの口はあんぐり開きっぱなしです。彼のヤギはまるでサンタクロースのソリをひくトナカイが空を駆けるかのように、山の向こうへと消えていきました。
「ま、まあ一匹ぐらい見逃してやるドロル」
そうこう言ってる内に次のヤギが橋にさしかかります。
なんとなく《中ぐらいの大きさのヤギ》が来るとニュータイプばりの閃き音が脳内でまたたいたドロルは「次こそは!」と、橋の上に姿を現しました。
「ドーッドッドッド! 先に言っておこう! この後に来るヤギがどれだけ食いでがありそうにでかかろうと、オレサマオマエ、マルカジリ――!!?」
「……ほう? この私をまるかじりしたいとは、よほど腕に自信があると見るが……その力、いかほどか」
冷や汗でぐっしょりになりながら、ドロルが天を仰ぎます。
だって低くて尊大なイケボはそっちから聞こえてきたのですから。
視線の先には、でいだらぼっちもビックリする程に超巨大なヤギが佇んでいました。圧が半端ない上に、なんかもう書き手担当違くない?レベルに顔も濃い。
もはやヤギというか、ヤギみたいな怪獣です。
もちろん名前は『がらがらどん』。
だーい好きなのは~ さーんぷくのくさ~(※とっ●こハ●太郎風)
「ど、ドロル~~~~~!?」
「ふむ、貴様トロルと申すか。どうした、さあどこからでもかかってくるがいい」
小山のように大きいと自負していたこのドロルは、上には上がいると今更ながらに思い知ってしまい、既に半べそ状態です。
「ひ、人違いでしたドロ! っていうか本当なら中ぐらいのヤギが来るはずなのに、なんでいきなりそんな大物が――」
「何を勘違いしておる」
「え?」
「私が中ぐらいのヤギだ。最後に来る兄者は私より強いぞ?」
それを聞いたトロルは明日の●ョーの1シーンのように真っ白になりました。
遠くから聞こえてくる地響きと共に、こちらへゆっくり向かってくるとんでもない気配が発する声を察知したからです。
『草……うます』
こうしてドロルは意識を手放して、バタンキュー。
同時刻。
遥か遠くにある山の上から、とってもとっても大きなヤギが目撃され、神様として崇められていましたとさ。
めでたしめでたし
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