第6話 美女聖騎士アリア

「なんだなんだ!?」


俺は声のした方を見た。

すると、一人の女の子が歩いて来た。

その子は、美しい金髪のロングヘアーに青い瞳をしていた。

白い鎧を着ており、腰にはレイピアを携えている。

美女聖騎士といった感じだろうか。


「おい、そこの女ァッ!! こっちへ来い! ぶっ殺してやらぁああ!」


ゴウセルが叫ぶ。

どうしたゴウセル。


「うるさいですね。私は今、忙しいのです。失礼」


彼女はそう言って、こちらに向かって歩いてくる。


「おいっ! そいつはBランク冒険者のゴウセルだぞ! 何やってんだ!」


俺は思わず叫んでしまった。

この聖騎士の方が強いかもしれないけどね。


「ええ、知っています。それが何か?」

「何って……! 殺すって言ってるぞ? 大丈夫か?」

「ふむ……それは困りますね」

「困りますねって……!」

「では、貴方が守ってください」

「え?」

「この男の相手をしてください」

「ええっ!?」

「この男に勝つのです」

「な、なに……!?」

「早くしてください。この男と戦うのです」


美女聖騎士は何度も言い直してくれる。


「わ、わかった……」


俺は折れた魔剣グリムリープを構える。


「またやるかああっ!! お前えええっ!!」


ゴウセルが錯乱しているようにも見える。

さっき斧をボロボロにしたのに。


『主よ……』

「大丈夫だよ。グリム。あいつ強かったけど、俺たちなら勝てるさ。斧も壊れたし。俺が避けることに集中すればね!」

『主、天才か』

「何をブツクサ言っている! 死ねぇぇぇ!」


ゴウセルは斧を振りかざす。


「2本目の斧だ!」

「2本目の斧か!」


速い!

だが、見える!

俺はゴウセルの攻撃を避けた。


「なにぃっ!?」

「遅いぞ!」


魔剣グリムが破壊のスキル(手加減ver.)を発動。

ゴウセルの巨体が宙を舞う。

そして床に叩きつけられた。


「ぐはっ!」


ゴウセルが気絶した。


「やりましたね!」


美女聖騎士が喜んでいる。


「私の名前はアリアです」

「え?」

「私の名前ですよ? 私の名前が知りたいのでしょう? 私の名前を呼んでいいですよ?」


なんだ、この子は……。

自信満々だな。


「じゃ、じゃあ、ア、アリアさん」

「はい」

「俺の名前はハヤトだ」

「存じていますよ」

「なんでだよ!」

「嘘です。存じてしませんでした。私、こう見えてAランクの冒険者なのですよ」

「そうなのか!よろしくな! Aランクの冒険者!」


変な人だな。

Aランクはすごいけど。


「こちらこそよろしく。Fランクの冒険者、ハヤト様」


わざわざ言わないでくれ。

なんかムカつくけど、まあいいか。


「ところで、魔剣グリムリープを修復したいんだけど、できる?」

『主、魔剣って言わないで……』


しまった。

スルーしておこう。


「修復ですか……?」

「うん。この剣が3分割になってしまったんです。どうにかなりませんか?」

「なると思いますが、少し時間がかかりますよ」

「構いません」

『主! 主! 聞こえますか!』

「ん、どうしたグリム」


聞こえますか……だって?

ああ、さっき無視して悪かったよ。


『主! 大変です! 主の魔力に反応してしまい、主の魔力を吸収し始めております! このままだと主は魔力を失い、ただの人間になってしまいます! しばらくシャットダウンしますので、美女とお楽しみください』

「ええ! シャットダウン!? 俺の恋を応援してくれるなんて」

「おい、お前ら! そこで何をしている! ゴウセル! ゴウセル! ゴウセルウウウゥッーー!!」


また誰か来た。

ゴウセルの仲間か親分か?

迫力がすごいので引いてしまうよ。


「また大男が来ましたね。絡まれる前に行きましょう」

「ア、アリアさん……そうですね」


こうしてアリアさんがグリムを直してくれることになった。

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