第5話 冒険者ギルド

その後、俺は王都にある冒険者ギルドへ向かった。

目的は、もちろん仲間探しだ。

魔力の高い者にグリムを直す協力をして欲しい。

冒険者ギルドに入り、受付嬢のところへ行く。


「すみません、ハヤトと申します。魔剣グリムリープを修復したいんです。強い魔力を持っている人を紹介してください」


俺は受付嬢に言った。


『主よ、魔剣と言わないように言ったはずです』

「あ、ごめん……」


受付嬢が身を乗り出す。


「えっと……ハヤト様の冒険者ランクを測定させてください」

「はい」


受付嬢何やら時計のような物を手に持っていた。

ランクを測る機械なのだろうか。


「あ、Fランクですね」

「F!? Fってどういうことですか!?」

「一番下ですね」

「そんな……」


結局俺は、グリム頼みだったのか。

分かってはいたけど……。


「申し訳ございませんが、Fランクの方に当ギルドの強い魔力を持っている方は紹介できません」

「そんな! お願いします! どうしても必要なんですよ!」


俺は必死になって頼んだ。


「そう言われましても、規則でして……」

「そこをなんとか!」


グリムがいないと、俺はこの世界で自由に生きられない。

ちょっとグリムのほうが立場が上になってきていて関係が心配だけども。


「無理なものは無理なのです!」

「そこをなんとか!」

「しつこいですよ!」


俺は諦めなかった。


「そこをなんとか!」

『主、同じことばかり言っています』


グリムに注意された……。


「しつけーんだよ! ガキィ!」


後ろを振り返ると、大柄の男が立っていた。


「な、なんですかあなたは!? 確かにしつこかったですけど! 30歳なのでガキではないですよ! あ、さては斧使いのゴルディオンの仲間ですね?  あなたも斧を持ってますから」

「うるせぇ! ゴルディオンさんがやられたって聞いて来てみりゃあ! Fランク認定者じゃねーか! 調子に乗ってんじゃねーぞ!」

「あなた、誰ですか!?」

「俺はBランクの冒険者だ! Bランクのゴウセル様だ! 覚えときな! クソガキッ!」

「弱い奴に用はない」


俺は正直に思ったことを口にした。

グリムの前ではゴルディオンもたいしたことなかったからね?

すると、ゴウセルの顔色が変わった。


「今なんて言いやがった?」

「聞こえないのか? お前は弱そうだと言ったんだ」

「てんめぇええええ!! Fランクのくせに!」


ゴウセルの斧の一撃は凄まじかった。

俺はとっさにグリムでガードする。

斧とグリムがぶつかる。

そして、魔剣グリムリープがさらに折れる。


「なぁっ!? グリム!!?」

『主よ……なぜ私で攻撃を受けたのですか。一度折れたら、ヒビも入ってるんですから折れやすくなりますよ……』

「ごめん! あ、斧に対して【破壊】のスキルを発動して!」


グリムの【破壊】のスキルを発動した。

そして、ゴウセルの斧が砕け散った。


「な、な、な、なん……だと?」

「俺の勝ちだな」

「ま、待ってくれ! 悪かった! 謝る! だから、許してくれ!」

「ダメだ。許さない。俺の言うことを聞いたら許してやる」

「わかった! なんでも聞くから!」

「魔力の強い人を紹介してくれ」

「いや、俺の仲間はガタイの良い男ばかりで、魔力の強い人はいないんだけどな……」


3等分にされてしまったグリム……。

グリムの言うとおり、攻撃をグリムで受けるからいけないんだよな。

グリムを守るために俺自身の回避のスキルを上げないとどうしようもない。


『主よ。私のことは気になさらず、攻撃を受けても別にいいですよ』

「バカを言うなよ。お前は俺の相棒だろ? お前が傷つくのは嫌なんだよ」

『主……?』

「俺がもっと強くなって、必ずお前を直すからな!」

『ありがとうございます』


グリムに優しさを示して良好な関係を築くぞ。


「あなたたち!」


ん? 誰かが近づいて来たぞ。


「あなたたち! 邪魔ですよ! 道を開けなさい!」


お? 女の子の声……!?

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