第5話 助け

 「僕があなたの味方になります。とりあえず何かあったら僕の教室まで来てください。来るのが難しい場合は連絡をくれればこちらが向かいます。とりあえず僕に何かしらで伝えてください」一気に伝えすぎただろうか。やらかした。

「わかりました。教室は行けたら行きます」

理解してくれたっぽい。本当にありがたい。

あとこれだけは伝えたい。

「あと本当に無理・辛い・やばいと思ったら学校を休んでください」

彼女は少し驚いた顔をした。

「え・・?休んだら逃げているようでダメなんじゃ・・?」

確かにそうかもしれない。だが・・

「この場合ではあなたが優先です。なんなら逃げるのも立派な一つの手段です。ダメだったらガンガン逃げてください」

静かに微笑みながら彼女にそう伝えた。

彼女は「わかりました」と少し和やかに返してくれた。


ひと段落して2人とも力が抜けたのか、少し日常の話になった。彼女はたまにこのSPES《スペース》を利用しているらしい。だが2階に事務所があったのは知らなかったとのこと。普通に話してみると明るくたまに抜けているところがありいたって普通の女子高生だった。みんなそうだ。

こんなに良い人が思い悩み苦しんでいる。

僕はそれが悲しい。だからこの「    」相談室を始めた。

ある程度時間が経ちそろそろ彼女を返す時間だ。

「ある程度日にちが経ったらもう一度来てほしいのですがよろしいですか?」

と聞くと彼女は来た時とは少し違う様子で

「もちろんです。本当にありがとうございます」

と言って少し軽い足取りで帰って行った。

さて僕も家に帰って考えなければ。

ノートPCを閉じ僕は少し重い足取りで出口に向かった。

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