第4話 放課後

 次の日、いつも通りの日々が始まる。いつも通り1限目から6限目をテキトーに聞き流し放課後を迎える。今日やった授業は双曲線がどうとかなんとか。ほぼ覚えてないしそんな事に頭のリソースを割いてられない。そう思いながらSPES《スペース》に向かう。2階の事務所に入り資料の整理をしていると、部屋の扉が開いた。紗倉さくら結奈ゆいなだ。優しい声で「ようこそ、そこにお座りください。」と声をかけた。「ありがとうございます・・・」

この前と同じく力のない小さな声だ。

「早速で申し訳ないのですが、相談の方を聞いてもよろしいですか?」僕はノートPCを開きメモの準備をする。表情、仕草、声のトーンなどをメモして夜にまとめたり対策を考えたりするために。

「私・・実はクラスの人にいじめられていて・・本当に・・本当に耐えれなて・・!!」

と悔しいような悲しいような感情を出しながら語った。「いじめられている子に何かしたこともないんです・・!!なんなら話したこともないんです・・!!なのになんで自分ばっかりいじめられないといけないんですか・・・!?学校の先生に相談してもまともに聞いてくれなくて・・誰も私の味方はしてくれない・・・」

と力強くだけども静かに。心の底から今の環境が嫌で憎くて悲しんでる。

「わかりました。それでは今日から僕があなたの味方です」としっかりと僕は言い切った。

本当にあなたの味方になりたい。心の底から僕が放った言葉は彼女の顔に少しだけ、ほんの少しだけの希望を見出させた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る