第3話SPES《スペース》

 SPES《スペース》は僕が「   」相談室を開くにあたって考え事をするときによく使っていた。SPES《スペース》は学校の近くにあるものの誰も立ち寄らない。テーブル席はなくカウンター席が5つ並んでいるだけの質素だが不思議な雰囲気があるお店だった。僕は考え事をするとき静かで人がいない場所を好む。長期休みは人が来ずこの店はうってつけだったのだ。

 

「マスター、明日の放課後に相談者が来るからよろしくね」そう言ってマスターにクラスと名前時間が書かれた紙を見せた。

マスターはひと通り目を通したあと、

「わかった。来たら2階に行くように伝える。」

「いつもありがとうマスター」

「気にするな。おまじない紅茶いるか?」

「うん。貰うよ」

今日は珍しくお客さんが多い。4席埋まっていてその内3席は同じ高校の生徒がいた。放課後に朝霧高校あさぎりこうこうの生徒が使うことは少なくないが3人来ることは中々ない。そう思いながら2階の事務所に向かう。階段登って1番奥の部屋。そこが我らが事務所。まぁ僕1人だけど。部屋に入るなり僕はノートPCを開いた。学校にノートPCは持って行けないのでマスターに預けている。明日相談を受ける紗倉さくら結奈ゆいなの表情や喋り方から性格や雰囲気などを予想する。そしてどんな悩みを持っているのか、ある程度考える。まだ夜じゃないけど。真面目くん言う予習的なやつだ。そんな事をしながらマスターのおまじない紅茶を飲む。今日はストレートか。

「うっま」今日も声が出てしまった。

本当にマスターの紅茶は美味しい。

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