第2話「依頼2」

 シュウには「   」相談室をしていることを話していない。多分これからも話さないしむしろ存在すら知らないかもしれない。1限目をテキトーに聞き流しながらシュウの方をチラッと見た。爆睡してた。まぁシュウは昔から授業は寝て、怒られて、笑って誤魔化して悩みなんてなさそうだし。そんなことを思いながら1限目を終わらせた。3限目の移動教室の時「ってか朝来た子?要件なんだったの?」と聞かれた。「んーああ、朝さ俺あの子の落とし物拾ってさ、律儀にお礼しに来てくれたのよ。」とテキトーに答えた。「ふーんいい子やな」「まじそれな」

本当にいい子なんだろう。悩みがある子は大体優しすぎたり考えすぎたりする。自分のためでも人のためでも。


昼休み、教室の前で紗倉さくら結奈ゆいなを待った。結構早めに来たと思う。「あの・・・紙お願いします・・・」自信なさげな小さな声と共に一枚の紙を差し出す。「ありがとう。それじゃあ明日の放課後にお話し聞かせてもらいます。場所はどこが良いとかありますか?基本的にはどこでも向かいますが学校意外だと嬉しいです。」相談中に先生に会ったり話を聞かれたらたまったもんじゃない。本当の意味で寄り添えないくせに。「それじゃあSPES《スペース》でお願いします・・・」SPES《スペース》とはこの学校の近くにある小さな2階建のカフェだ。マスターとはそこそこ仲が良く「   」相談室の事務所はSPES《スペース》の2階の一角を借りている。「わかりました。それでは明日の放課後にSPES《スペース》にお越しください。」

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