第31話 戦いの後…

第31話


アークside


「つ、疲れたぁ………」

「良かったですね、木こりさん。泊まる場所を確保して貰えて………」

「木こりじゃない、農家だ。それに関しては同感だな。傷も治して貰ったしな………」

『全くじゃの、あの女冒険者はかなり良い奴じゃ。』


困った時は助け合いというが、本当に助かったなぁ………


☆☆☆☆☆


グラシャラボラスを倒した少し後………


「ち、ちくしょう、動けねぇ………」

「だ、大丈夫ですか、木こりさん!」

「はぁはぁ、大丈夫だ。ちょっと、血を流し過ぎただけだからな………」

「どう見ても大丈夫に見えないですよ!!身体の色々な所が削れてるじゃないですか!!」

『痩我慢は見苦しいだけじゃぞ。』


う、煩い………


何か身体を治せる術とか無いのかよ、魔王!!


『無い、諦めろ。』


役に立たねぇなぁ、もう………


『煩い。そもそも、我が使える権能は攻撃的な物しかないわい。応用すれば出来なくはない奴はあるが………』

「あるが………何だ?」

『アレは………は駄目だ。』


傲慢、か………


そんなにヤバい奴なのか?


『ああ、アレは駄目だ。我の権能は最初に教えた憤怒や先の傲慢を含めて7つ有る。我の世界では所謂【】と呼ばれた物だ。』


大罪?


そりゃ、物騒な名前だな………


『人が………知的生命体が必ず持ち、捨てる事が出来ない業の事じゃからな………』


成る程ねぇ、確かにそれは大罪だ。


で、その大罪の傲慢は何がヤバいんだ?


『傲慢は我でも一回しか使った事がない。アレは単純明解な技じゃが、使った時の反動が酷いんじゃよ。』


反動?


お前が使えば、無いんじゃなかったのか?


『他の奴はな。だが、傲慢だけは特別じゃ。アレはの力、我や愚妹すらも呑み込む力なのじゃ。』


魔王や女神様さえも呑み込む力か………


恐ろしいな、マジで………


「────さん!」


ん?誰か呼んで………


「木こりさん!!」

「うおっ、ち、近いなプリズム!?ていうか、俺は農家だ!!」


何だよ、そんなに近付いて………


「反応が遅れてた………やっぱり、誰かと何かしてますよね!」

「げっ………」


わ、忘れてた。


何て言おうかなぁ、マジで………


「しっかりと話して貰いますからね!!」

「き、傷を治してからじゃ………」

「そうやって先延ばしにしてたら、はぐらかしますよね、木こりさん。」

「うっ、そ、そんな訳ないだろ………」

『説得力皆無じゃのう………』


はは、何を言ってるんだい、魔王様。


この俺がそんな事をする訳がないじゃないですか。


「見つけた!!」

「だ、大丈夫かい!!」


ん?誰か来たな………


「ほ、ほら、誰か来たみたいだから、先にそっちを対応しようぜ、な?」

「むぅ、理解わかりました。でも、絶対に話して貰いますからね?」

「あ、ああ、約束するよ。」


はぁ、助かった………


ありがとう、名も知らぬ人達………


「凄い音が聞こえたから来てみたけど、酷い傷じゃないか!!女の子の方も腕が斬られてるし、何があったのかい!?」


どうやら、俺達に叫んでいたのは女の人達だったらしい。


しかし、どう答えた物か………


「事情を聞くよりも先に治療!治療が先でしょう!!ほら、運ぶよ!!」

「そうだね!!急ごう、急患だ!!」

「「へ?」」


あれ、何で俺を抱きかかえて………


「ほら、私達の診療所へ向かうよ!!」

「ちょっと揺れるから気を付けてね!!」

「「いや、ちょ、待っ────」」


こうして、俺達は見知らぬ女の人達に拐われましたとさ、チャンチャン。


続く

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