第20話 近くの町と、悲惨な夢

第20話


レイジ・ディストラクション憤怒徹甲弾


「コレで終わりだ、犬っころ!!」

「キャゥン────」


はぁはぁ、やっと──倒せた────


『全く、遅かったのう………』

「煩ぇ───って、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


クソが、やっぱり滅茶苦茶痛ぇ!!


「ちくしょう、この反動はどうにかならねぇのかよ!!」

『無理じゃな、慣れろ。』

「無茶言うな!!」


幻痛と理解わかってても、痛い物は痛いんだよ………


「でも、倒せたんだから、さっさと町へ行くか………」

『そうじゃの、もう道も消え始めてるみたいじゃしの………』


ハーゲンティが創った道が少しずつ普通の地面に戻りかけている。


つまり、アイツは………


────気にしても仕方ない、か。


☆☆☆☆☆


「はぁはぁ、着いたな………」

『じゃな。所で、アーク………』

「何だ、魔王?」

『お主、金は有るのか?』

「───すまん、何言ってるか理解わからん。」

『金、有るのか?』

「ヒュ〜ヒュ〜♪」

『無いんじゃな………』


そうだよ、無いんだよ!!


仕方ないだろ、がむしゃらに外に出ていった上に、急に逃亡生活を送る羽目になったんだからさ!!


「どうしよう………泊まる金も無いし、町の外で野宿するか?」

『それしか無いじゃろ。』

「でも、変な奴等が襲って来たらを考えるとな………」


天使族の奴とか、何か発情してくるモンスターとか、色々と心当たりが多すぎる。


俺、マトモに寝れるのか?


『敵が来たら我が起こすから、安心して寝るが良い。まぁ、寒くて寝れんじゃろうと思うが………』

「そうなのか?なら、良かっZzzzzz──」

『え、寝たのか?本当に寝れたのか?マジで眠れるのか!?嘘じゃろ、コイツ………』


☆☆☆☆☆


「アンッ♡アンッ♡」


何だ、この声────


「もっと、もっとくださいイッキ様♡」


誰だろう、この声────


────嫌だ。


「はぁはぁ、大好きぃ………■■■より大好きなの………」


何をしているのだろうか───


────知りたくない。


「愛、愛してる、イッキ様♡」


あ、ああ、お前は────


「勿論、誰にもお前を渡さないよミリス。」

「うん、うん♡私はイッキ様の物♡アークなんかと付き合ってたっていう黒歴史を♡イッキ様の物で上書きして♡」


────知っている人達が交り合っていた。


でも、女の方は知らない顔で、知らない声を出していた。


違う────


絶対に違う!!!


アイツがそんな顔をする訳がない!!!


アイツがそんな事をする訳がない!!


「ねぇ、■■■………」


気が付いた瞬間、目の前に彼女が立っていた。


着ている服はグチャグチャに乱れていて、肌を見せている場所の至る所には誰かに強く吸い付かれた様な跡が残っていて、下の方には何かの液と白いネバネバした液が混じり合った物が落ち続けている、そんな彼女が立っていた。


「な、何だ、■■■?」

「────私と別れて欲しいの。」


☆☆☆☆☆


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」


憤怒レイジ・─────


『落ち着かんかい、馬鹿者!!』


煩い、誰が俺の身体を止めてるか知らんが、俺は今無性にムシャクシャしてるだ。


この怒りを止める奴は全員………


────全員ぶっ殺してやる!!


憤怒徹甲レイジ・ディストラ────】


「クソっ、また誰が止め────Zzzzzz」

『やっと、止まったか、この馬鹿者………」


────ああ、意識が遠退いていく。


感情が物凄く渦巻いているのに、その意識すら無理矢理に消し去られそうだ。


『今は眠れ、アーク。その激情を使い熟した時こそ、お前は我の憤怒を真に扱える様になるじゃろう。』


コレは誰の声なのだろうか?


優しい声だ………


『だから、頑張れ。何時か、お前の想いが報われるその日まで………』


なぁ、答えてくれよ、優しい声の人。


































────今の俺に、そんな日が来るのかい?


続く

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