第19話 見境ない女難
第19話
「はぁはぁ、疲れた………」
『何じゃ、だらしないのうアーク。』
「お、お前のせいだろうが………」
あの後、何回も魔王に消し飛ばされた。
その度に痛い想いもしたし、滅茶苦茶焼ける様な幻痛に襲われた。
マジで死ぬかと思ったわ………
『大袈裟じゃな、それ位の痛みには慣れろ。じゃないと、我の力は扱えんぞ?』
「む、無茶言うな………」
『まぁ、今日は此処までにしておいてやろう。肉体方面はこの世界から出てから鍛えてやるぞ。』
「う、嘘だろ────」
☆☆☆☆☆☆
「はっ、も、戻った!?」
気色の悪い風景の世界から、先程まで居た場所に戻っていた。
周りの風景は普通の森だが、凄い安心感がある。
これが普通か………普通最高!
『何をほざいとるんじゃ、お主………』
「煩ぇ、スパルタババア!」
『貧弱な………』
「心底思ってそうな冷たい声やめて!?」
酷いよ、この魔王………
いや、先程聞いた役割の事を考えれば酷い奴ではあるんだけどさ………
『────アーク、お客様が来た様だぞ?』
「客?────まさか!?」
こんな直ぐに天使族か!?
──────────────────え?
「ワン!ワンワン!
「犬じゃん、野良犬か?」
『アホか、お主!?アレはハウンドじゃ!』
「ハウンド?それって「グウォォォ!!」うおっ!?」
少し近付いた瞬間、いきなり大きくなって噛み付きやがったぞ、この犬っころ!?
コイツ、モンスターなのか!?
『正解じゃ、というか直ぐに気付け愚か者!!アレは我と愚妹が初期に考えた奴での、可愛さで騙してから不意打ちで本性を表す様に頑張った奴での………懐かしいのぅ。』
「懐かしんでんじゃねぇ!!」
というか、薄々思ってたけど、絶対にお前ら姉妹の性格凄い悪いだろ!!
今まで尊敬してた女神様の心も吹っ飛びそうだわ!!
「グルルル、ハァハァハァハァ!!」
「何か声が変なんだが………唸ってるのに何か甘えてる時の犬みたいな声なんだけど。」
『────アレは発情期の声じゃな。』
「は?アレ、雌なの?」
『うむ。どうやらお前に発情してるらしい。機能的にそんは事は起きない筈なのじゃが、モテて良かったのう、色男。』
「良くねぇよ!?」
モテるならミリスだけで良い。
良かったんだけどなぁ────
『自爆してる暇は無いぞ、アーク!ほら、我の炎を使え!』
「えぇ、でも………」
「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ!!!!!!!」
あ、圧が凄い………
コレ、負けたら色んな意味で食われる未来しか見えねぇんだけど………
反動が嫌だが、やるしかねぇか………
「面倒だが、一発で決めるぞ犬っころ。」
【
「キャゥン!!」
「あれ?」
『やはり、か………』
襲って来るハウンドを殴り飛ばす事は出来た。
炎でダメージを与える事は出来た。
だが………
「しょ、ショボい………魔王のと全然違うじゃん。」
『そりゃそうじゃ、直ぐに我の力を使い熟されて貯まるか。』
「だからって、コレは無いだろ!?」
コレ、何か拳を燃やして殴っただけになっちゃうよ!?
しかも、ハウンドの奴だって………
『ハァハァハァハァハァハァハァハァ♡』
何か圧は弱くなったけど、余計に目に熱が籠もってる様に見えるんですけど!?
もしかして、モンスターにも被虐体質とかあるのか?
『ほら、さっさと倒すんじゃ!負けたら、またあの世界行きじゃ!!』
「それは嫌だ!!」
もう形振り構ってられねぇな、コリャ!!
「ハァハァハァハァハァハァハァハァ♡♡」
「行くぞ、犬っころが!!」
続く
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